この「手のポジション移動」というのは
ピアノを演奏する以上、つきもの。
しかし、場合によっては
運指の工夫で移動の負担を軽減することができます。
例は山ほどありますが
今回はそのうち3つの具体例を見てみましょう。
例①
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、28-29小節)
29小節目へ入るときに
左手の音型に1オクターヴの跳躍があります。
このような場合、
譜例にも書き込んだように
直前のオクターヴ上の音を「1の指」でとっておくと
手を広げたオクターヴの間隔でそのまま
オクターヴ下の音をつかむことができるので
安定度が高くなります。
いくつかの楽譜では
28小節目の最後の音を「3の指」でとる運指が書かれており、
それで弾いても弾けることは確か。
しかし、その場合は
小節の変わり目で手の横移動が入るので
29小節目の最初の低いGis音を外す可能性が高くなってしまう。
繰り返しますが、
オクターヴの跳躍というのは
手を広げたオクターヴの間隔でそのまま
上下の音をつかめると安定するので
1の指や5の指をどこで使うかの工夫がものを言います。
例②
譜例(PD作品、Finaleで作成、9-10小節)
テンポが速いこともあり、
10小節目の右手に出てくる広い音程の和音は
直前の運指準備が良くないと
うまくつかめません。
この広い音程の和音を打鍵するときに
手のポジション移動があると
失敗する確率が上がってしまうので、
できる限りポジション移動をなくせばいいわけです。
具体的な方法としては、
譜例へ運指を書き込んだように
直前のF音を「3の指」で弾くこと。
そうするとこのF音を弾いているときに
1,4,5の指は和音をつかむ形を用意できますし
次の8分音符E音は自然と2の指で弾くことになるので
そのままの手のポジションで
広い音程の和音へ入ることができます。
例③
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、28-29小節)
29小節目の頭の和音をつかむときの
手のポジション移動が問題になります。
やり方としては、
譜例へ運指を書き込んだように
28小節目の最後のC音を「1の指」で弾くことで
ポジション変化を経ずに
和音を「2345」でつかむことができます。
和音に含まれる、黒鍵の音であるB音を
2の指でとれるように工夫しているわけです。
このB音を1の指でとろうとすると
ポジションの前後移動が発生してしまいますので。
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