ツェルニー50番は優れた教材ではありますが、
はじめから全曲に取り組もうと思うと
たいへん骨が折れます。
また、せっかく練習しても
ツェルニーの練習曲自体を
自身の一生のレパートリーにするケースは
かなり少ないと思います。
一方、
ツェルニー50番で要求されるようなテクニックを幅広く含んでいて、
なおかつ、素晴らしいレパートリーにもなる教材があるのです。
それは、
ベートーヴェン「エロイカ変奏曲」です。
この楽曲は各変奏が
まるで「ツェルニーの練習曲」のようになっていて
焦点を絞ったテクニックが要求されます。
それに、
ベートーヴェンの作品だけあって
非常に音楽的ですので、
(ツェルニーにも素晴らしい作品はありますが・・)
最終的に
「演奏会用のレパートリー」
にすることもできる点が大きな魅力です。
第2変奏は「右手の3連符による高速パッセージの練習」
第3変奏は「手の交差の練習」
第4変奏は「左手のスケールと分散和音の練習」
・
・
等々、
第15変奏までテクニックの焦点が絞られた内容で続いていき、
その後に「フーガ」で全曲を閉じます。
全曲を通じて
幅広いテクニックが折り込まれているので
「エロイカ変奏曲全体で、1冊の音楽的な練習曲集」
といったような
充実した内容になっています。
ひとつの変奏をひとつの練習曲のように捉えて
練習していけます。
「それぞれの変奏がコンパクトにまとめられているので、とても練習しやすい」
という点もポイント。
もし、エロイカ変奏曲を練習した後に
さらにテクニックを補強したければ
ツェルニー50番を「抜粋」で使えばいいのです。
そう考えることで、
50曲を端から練習していく場合よりも
練習のモチベーションがずっと上がるはずです。
難易度は高いので
「ツェルニー40番終了程度」
から取り組むといいでしょう。
楽譜は「ヘンレ版」を用いれば間違いありません。
◉ Eroica Variations op. 35: Instrumentation: Piano solo
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