具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第23番 熱情 ヘ短調 op.57 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、79-82小節)
この譜例において
79-80小節に出てくる右手のトレモロは
各拍頭を強調すべきではありません。
一方、
81-82小節に出てくる左手の分散和音は
各拍頭をやや強調してもOKです。
どうしてなのか、
これらのパッセージの違いを読み取りましょう。
♬ 79-80小節に出てくる右手のトレモロ
(再掲)
79-80小節に出てくる右手のトレモロは
同じ音程同士を繰り返している
言ってみれば「持続音」の一種です。
こういったところで
各拍頭をいちいち強調してしまうと
音楽の縦割り感が強く出てしまいます。
もちろん、
もう片方の手で演奏する音が出てくるタイミング
をつかむ意味でも
拍の感覚は体内に持っているべきですが、
それを表面には出さないほうがいいでしょう。
♬ 81-82小節に出てくる左手の分散和音
(再掲)
一方、
81-82小節に出てくる左手の分散和音は
各拍頭の音を見ていくと
メロディックなライン(丸印で示した音)が内包されています。
こういった場合は
ちょっとした副旋律のように扱えるので
やりすぎない程度に強調しても不自然ではありません。
加えて、
先程のトレモロのように
同じ音程で停滞しているわけではないので、
各拍頭を強調することによる縦割り感は
それほど感じないんです。
ひとつ付け加えると、
強調して良いのか判断に迷うようなパッセージを弾く場合は
原則、強調しないで素直に弾いておいたほうが無難でしょう。
ちなみに、
ちょっと荒技的ですが
「難易度を下げるために、各拍頭を強調するテクニック」
もあります。
という記事を参考にしてください。
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