「上手な人はバランスに敏感」
これは、間違いないでしょう。
ここで言う「バランス」とは、たとえば以下のような内容です。
♬ 和音の響きのバランス
♬ 全体の構成やダイナミクスのとっておき方
もう少し詳しく解説します。
♬ 直前や直後の音とのバランス
これは例えば、
ある音を直前や直後の音と比較した時に
「音色が変わりすぎていないか」
などといったことです。
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第2番 BWV 871 ハ短調 より フーガ」
譜例(PD作品、Finaleで作成、曲頭)
1小節3拍目裏に「低いC音」が出てきますが、
この音は「直前のG音」や「直後のF音」よりも大きく飛び出てしまうと
音楽的に不自然です。
流れの中で下降する裏の音だからです。
また、そのG音とF音との関係も大切で、
丸印をつけたように
「G音 → F音 → Es音」
といったように「2度で下がっていく音階」が内包されています。
色々な音で装飾されているだけなのです。
したがって、
「F音よりもEs音がやや小さく」
といったような美しい階段になるように
バランスを作ると音楽的です。
フレージングもそうなっています。Es音は「フレーズ終わりの音」ですから。
当然、音色にも気を向けて
どれか一つの音だけが急に音色変化しないように
気をつけなければいけません。
♬ 和音の響きのバランス
低音が深く響き、その上に中音域や高音域が乗る。
低音がその他を包み込む。
これが、和音の響きのバランスとしては理想的です。
「バスの響きが足りない」
「ハーモニーが聴こえない」
という状態になってしまわないように注意が必要です。
詳しくは、
という記事を参考にしてください。
♬ 全体の構成におけるバランス
上記2項目は
言ってみれば「森の中の木」を手入れする内容でした。
一方、
ピアノ演奏ではそれに加えて
「森を見て木も見る」
これが重要です。
「全体でみた時に、今弾いている箇所のバランスが不自然でないか」
という観点を持った上で
楽曲を仕上げていかなくてはいけません。
よくある改善すべき例として、
「f と書いてあるだけでものすごく大きくなってしまって、別の箇所の ff が活きない」
などといった、
「ダイナミクス」のバランスがよくない例です。
ダイナミクスはもちろん、
「音色」「テンポ配分」
などあらゆる要素において全体のバランスを考えましょう。
という記事もあわせて参考にしてください。
本記事で紹介した内容は
バランスに関するほんの一面を取り上げただけに過ぎません。
バランス、バランス、バランス。
とにかく上手い人はバランスに敏感で
こういったところに練習時間をかけます。
多くの学習者をみていると
バランスに意識があるか無いかの2パターンに
はっきりと分かれるように感じます。
「バランスのことはまったく意識になく、音を拾っているだけ」
これらの中間の学習者って、ほとんどいないんです。
ですから、
もし仮に後者だったとしたら
まずやることは「バランスを意識し始めること」です。
それだけで
かなり上達の方向へ近づいていけます。
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