■テヌートのさまざまな使用例
具体例①
テヌートの基本的な意味としては
「テヌートがついている音符は、音価を充分に保って演奏する」
となります。
あなたの認識もこれと同様のはずです。
一方、
「音価を充分に保って演奏する」
と言っても、直後に休符が無いケースもありますよね。
例えば、次のような例です。
ドビュッシー「前奏曲集 第1集 より 雪の上の足跡」
譜例(PD作品、Finaleで作成、2-4小節目のメロディ)
「わざわざ音価を充分に保って、と言われなくても指を上げないよ」
などと思いますよね。
一方、こういったテヌートには大きく2つの意図があると考えられます。
② その音にやや長くとどまって欲しいという指示
「雪の上の足跡」の例では、おそらく①のほうでしょう。
ロマン派の作品などで
ルバートを大きく表現する楽曲では
②に該当する例もあります。
そして、
判断は演奏者のあなた自身がおこなっていかなくてはいけません。
「こういった選択肢を知っているかどうか」
これがものを言います。
知らないと選びようがないからです。
具体例②
更なる例を挙げます。
先ほどと同じく「雪の上の足跡」から「5-7小節目のメロディ」です。
ここではテヌートの後に休符がありますので
「音価を充分に保つのだろうな」
などと意味は理解できます。
しかし、
もう少し深く読み取る必要があります。
ここでは「音色の指示」として書かれているということも
踏まえておく必要があります。
(再掲)
5-7小節目はもちろんダンパーペダルを使用して演奏しますが、
6小節目には「スラースタッカート」も
書かれていますよね。
という記事の中で、
ダンパーペダルを使用して音は繋げて、
手は「スラースタッカート」で演奏することで、
「音はつながっているけれど軽い空間性のある音にしたい」
という意図があるケースについて触れました。
つまり、
作曲家がメロディに対して
◉ スラースタッカート
◉ スラー以外は何も書かれていない音
これらを混在させて表現を使い分けているのは
「音色の指示」だと言えるのです。
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