具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第16番 ト長調 op.31-1 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、66-69小節)
66-68小節のメロディにおける
スタッカートのついた各8分音符に注目してください。
これらのスタッカートは
さりげなくついているようでいて
大きな意味をもっています。
とうぜん、音価を短く響かせるニュアンスの意図もありますが、
もうひとつ大きな意味として理解すべきなのが、
「直後の強調」について。
スタッカートがあることで
その直後に出てくる長い音価の4分音符が強調されて聴こえるんです。
仮にスタッカートがなければ、
4分音符を同じ強さで弾いたとしても
その印象は弱いものとなります。
スタッカートで演奏されて音響的な切れ目ができるからこそ
その直後の4分音符が強調されて聴こえる。
シンコペーションが活き活きとする。
これを踏まえて
弾いたり聴いたりしてみてください。
「フレージングとアーティキュレーション―生きた演奏のための基礎文法」
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社
という書籍に
以下のような文章があります。
強拍の部分により多くの重みを間接に与えるために
上拍がスタッカートで奏されるということは、
昔の音楽では通常見られることである。
(抜粋終わり)
この文章の状況を8分音符ひとつぶん後ろへずらしたのが
上記譜例の部分だと言えるでしょう。
◉ フレージングとアーティキュレーション―生きた演奏のための基礎文法
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社
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