モーツァルトのピアノ音楽を読み解くためには
あらゆる知識と経験が必要ですが、
「譜読み」という観点で言えば
特に以下の3点はおさえておくべきでしょう。
◉ 弧線が短く、小節線を越えてかけられることが少ない理由と実際の解釈
◉ モーツァルトの装飾音の解釈
解釈版の楽譜では、
ダイナミクス、弧線などが変更されているケースがほとんどなので、
以下、原典版を元にした内容です。
ダイナミクスがほとんど f と p しか出てこない理由と実際の解釈
以前にも取り上げたように、
モーツァルトの作品には
mf などがないわけではなくても非常に少なく、
f や p が多くを占めています。
これはどうしてなのか。
また、実際の演奏では
どのように解釈して弾けばいいのか。
こういったことを抜きにしては
モーツァルトのピアノ音楽を読み解くことはできません。
この点に言及している参考書籍は、以下のもの。
モーツァルトのダイナミクスに関しては
はじめの1冊として参照するのにおすすめです。
◉ 斎藤秀雄 講義録(白水社)
さらに本格的に学びたいのであれば、こちら。
◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社
弧線が短く、小節線を越えてかけられることが少ない理由と実際の解釈
これについても、演奏者を悩ませる項目のひとつ。
以下の譜例を見てください。
モーツァルト「ピアノソナタ第12番 K. 332 (300k) 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
この譜例のように
モーツァルトの作品をはじめ
18世紀中頃までの作品では
弧線が小節線を越えて引かれることは
多くありませんでした。
現代の作品では
フレーズの大きな弧線が引かれていることも多い中、
なぜ、上記のような短い弧線が書かれているのか。
これには諸説ありますが、
実際の演奏でどのように解釈していくかを考えるためには
諸説のうちのひとつでも知っておかなければいけません。
この点に言及している参考書籍は、以下のもの。
1969年に世に出た定評のある一冊ですが、
希少本となる前に
必ず手にとっておくべき良書です。
◉ フレージングとアーティキュレーション―生きた演奏のための基礎文法
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社
モーツァルトのそれに特化して
本格的に学びたいのであれば、こちら。
◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社
モーツァルトの装飾音の解釈
これに関しては
本Webメディアで何度も書いてきていますが、
やはり、モーツァルトのピアノ音楽を読み解くためには
ぜったいに踏まえておきたい基本事項です。
アマデウス・モーツァルトは
幼少期に父親のレオポルド・モーツァルトから教育を受けたので、
レオポルドの書いた
「ヴァイオリン奏法」という書籍は
アマデウス作品の演奏にとっても
良い指標となるでしょう。
装飾音関連に関しても
かなりのページ数を割いて解説されています。
この書籍は分厚く、
また、
勉強にはなるけれども
ピアノに直接は関係のない章もあります。
そこで、
以下の部分から読み進めるといいでしょう。
第10章 トリラーについて
第11章 トレモロ、モルデント、その他の任意の装飾音について
第12章 正しい読譜とよい演奏全般について
◉ レオポルトモーツァルト ヴァイオリン奏法 [新訳版]
同じく本格的に学びたいのであれば、こちら。
◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社
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