弦楽器的な音型というのはいろいろとありますが、
そのうちのひとつが登場するピアノ曲を
例に挙げましょう。
シューマン「ピアノソナタ 第3番 ヘ短調 Op.14 第4楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、350-352小節)
このような
「同じ形で行ってかえってくるアーチのような音型」
というのは、
非常に弦楽器的。
シューマンは「交響的練習曲 Op.13」などでも
このような音型を用いています。
例えば、
ヴァイオリンには4本の弦が張られていますが
それらの弦の並びはアーチ状になっています。
すべての弦の上を
撫でるように弓をすべらせることで
連続的に4種類の音が発音される。
そして、来た道を戻るように弓を動かすと
今度は逆の順番で4種類の音が発音される。
したがって、
弦楽器、例えばヴァイオリンの楽譜では
特徴的かつ弾きやすい音型として
以下のような音づかいがよく見られることになります。
ドヴォルザーク「交響曲第9番 新世界より 第4楽章」2nd Violin パート
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、100-102小節)
4本ある弦のうち
端っこの弦を避ければ、
3音で行ってかえってをすることもできる。
では、もう一度シューマンの譜例を見てみましょう。
(譜例)
3音で行ってかえってをやっていますね。
折り返し地点に出てくるような高速同音連打は
ピアノが苦手とする奏法でもありますし、
「ピアノ的」とは言いにくいパッセージです。
しかし、
だからこそ
それをピアノでやることで
他の多くのピアノ曲ではあまり聴かれないようなサウンドが生まれている
ということ。
これについては
という記事でも書きましたので
あわせて参考にしてください。
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