楽曲に現れる通常の音階のところでは、
ダンパーペダルを踏みっぱなしにして演奏すると
濁りに濁ってしまいます。
例えば、譜例1のような場合。
譜例1(PD作品、Finaleで作成、5-7小節)
一方、譜例2のような
グリッサンドのところでは
ダンパーペダルを使っても濁りません。
厳密に言えば濁っていますが、
通常の音階のときのようには気になりません。
ドビュッシー「プレリュード(ピアノのために 第1曲)」
譜例2(PD作品、Finaleで作成、45-47小節)
グリッサンドでペダルを使い続けられる理由は
「ほとんどのグリッサンドはエフェクト(効果音)だから」
というもの。
通常の音階では
ハーモニー感やメロディックなラインとして
それを聴かせるわけですが、
グリッサンドというのは
言ってみれば「速すぎる音階」なので
役割としてはむしろ
「グリッサンドですよ」
と説明するかのような
エフェクト(効果音)なのです。
(「多くの楽曲では」と付け加えておきましょう。)
グリッサンドは
「聴きゃあ、グリッサンド」
というような
独特なサウンドがしますよね。
したがって、
ペダルは
そのエフェクトの音響をいじるだけのものになるので
問題なく使えるということ。
ハーモニーが分かりにくくなるとか、
そういうことは問題外。
とうぜん、
グリッサンドにおいても
ペダルの踏む深さで音響が変わるので
どれくらい踏みこむかの検討は必要です。
譜例3のように
望むのであればノンペダルでも成立しますし。
譜例3(PD楽曲、Finaleで作成、102-104小節)
譜例3もそうでしたが、
譜例4のような
「グリッサンド的な音階」というものも
たびたび見られますね。
ブラームス「2つのラプソディ 第1番 Op.79-1 ロ短調」
譜例4(PD楽曲、Finaleで作成、62-66小節)
譜例4は音階ではあるのですが、
ハーモニーやメロディとして聴かせるというよりも
カタマリとしてウワァっと効果音のように
聴かせることが狙われているのでしょう。
したがって、
グリッサンドに準じた表現として
ペダルを使った演奏が可能です。
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