今回話題にしたい「作曲家による外国語の書き込み」とは、
通常の音楽用語のことではありません。
作曲家が大譜表のかたわらに書き残した
外国語による文章のことです。
こういったメッセージ、訳すのをサボっていませんか。
例えば、以下のようなもの。
ドビュッシー「子供の領分 2.人形のセレナーデ」
楽譜が始まる最初のページの下に
「曲の最初から最後までソフトペダルを使う。フォルテの部分でも同様に。」
と書かれています。
これを見落としてしまうと
まったく音楽が変わってしまいます。
ドビュッシーが欲した
「ソフトペダルを踏むことで出せる音色、その特徴的な f の音」
を何も表現していないことになってしまいます。
ドビュッシー「映像 第1集 3.運動」
67-68小節目の下に
「テヌートのついている音符を響かせて、その他の音は乾きすぎない程度にとても軽く」
と書かれています。
テヌートのついていない音に対して
ドビュッシーが
どのようなニュアンスを望んでいたのかが
よく理解できますね。
2つの例を挙げましたが、
「音符や休符のみでは伝えられないこと」
あるいは、
「伝わるかもしれないけれど、補足したいこと」
などが書かれているとわかるはず。
音符や休符を読むのと同じくらい重要視しなければなりません。
こういった文章による書き込みは
近現代以降の作品で特に多くなってきます。
リゲティにおいては
言葉の書き込みで真っ黒な楽曲すらあります。
一方、
ベートーヴェンなども
文章による書き込みを残していますし、
どんな作品であっても油断してはいけません。
楽譜に書かれていても
音符を読むことばかりに一生懸命になっていると
視界へ入ってこないものなのです。
見落とさないように注意しましょう。
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