トレモロを見かけたら
「出てきたから何となく弾く」
というだけでなく
どんな表現を求められているのかを考えてみましょう。
例えば、
ベートーヴェンの作品には
トレモロがたびたび出てきますが、
「オーケストラ的表現」だと考えると
しっくりくる場合が多くあります。
ティンパニなどの連打を模しているのでしょう。
また、
トレモロはオーケストラ作品をピアノ編曲するときにとても頻繁に使われます。
したがって、
このような編曲をたくさん手がけたリストの作品には
やはりたくさん出てきます。
もちろん、
リストの純粋なピアノ曲にも見られます。
例えば、以下の譜例のトレモロは「太鼓連打」です。
「持続を補うために書かれているトレモロ」
と言えるでしょう。
リスト「スペイン狂詩曲 S.254」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
そう考えると、
左手は、一音一音がはっきり見える弾き方よりも
ティンパニの持続トレモロのイメージで
うるさくなりすぎないように演奏すべき
などと演奏面での判断できます。
一方、
ショパンのピアノ曲は
◉ オーケストラがイメージしにくい
などと話す専門家も多いのです。
確かに、
いかにもピアノ曲といった雰囲気で
音域の広いアルペジオをはじめとし
音の使い方がほんとうにピアノ的です。
オーケストラ的ではありません。
だからなのか、
彼の作品にトレモロはほとんど出てこないのです。
トレモロはもちろん
ありとあらゆる音楽要素には
きちんと意味があります。
自分なりの解釈で構いませんから
その要素がなぜ出てきたのかを考えるクセをつけましょう。
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