【ピアノ】作曲家によるテンポ指示は目安程度に

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本記事では、
作曲家自身によるテンポ指示を話題にしています。
どこまで参考にすればいいのでしょうか。

 

ショパン「エチュード(練習曲)op.10-3 ホ長調」

日本では「別れの曲」として

あまりにも有名な作品です。

この作品の最初にテンポ指示がありますが、

何と書いてあるか知っていますか。

作曲者によるテンポ指示は、あまりにも速すぎるんです。

 

「別れの曲はこれくらいのテンポで演奏される」

などと我々の中に

慣例のようなものが入ってしまっているからこそ

速すぎると感じるのかもしれませんが、

それにしてもせわしない。

ちなみに、

ゴドフスキーは別れの曲を編曲するにあたり

テンポを下げてテンポ指示をしています。

 

作曲家が指示したテンポというのは

作曲家の意図を絶対的に反映しているものと思いきや、

作曲家による自作自演の録音を聴くと

自身で書き込んだテンポとはまったく変えて演奏していたりする例もあります。

参考程度にするしかないということですね。

もちろん、

テンポ指示から作曲家の意図が見えてくる側面はありますが。

 

また、

ツェルニーの練習曲の場合は

参考というよりは

「一種の到達目標点」と考えるのが得策。

ツェルニーによるテンポ指示を見ると

かなり速い設定になっていますよね。

(校訂者がテンポ数値をチェンジしている版もあります。)

テンポで弾こうとすると、

その楽曲にやっとこ取り組んでいる段階ではムリ。

スポーツをやっているわけではないので、

テンポ指示は到達目標点と考えて

少しテンポを下げて一度カタチにするといいでしょう。

 

最後にもうひとつ。

「作曲家によるテンポ指示は目安程度に」

と書きましたが、

それは決して「無視して良い」ということではありません。

多くの学習者は

テンポ表示を見てすらいないのではないでしょうか。

CDなどで聴いて大体のテンポを知っているからか、

何となくのテンポで弾き進めてしまう方が多いようです。

確認すること自体は

省略してしまわないようにしましょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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