【ピアノ】その場面転換では興奮を引きずっていいのか検討する

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場面転換における奏者自身の興奮のコントロールは
想像以上に演奏に反映されます。
詳しくは、本記事をご覧ください。

 

譜読みを進めておおむね弾けるようになり

音楽の理解も深まってきて

ある程度本番が間近に迫ってきたとき、

さらに仕上がりのクオリティを上げるために何ができるでしょうか。

◉ 運指の再検討も含めた、音色の追求
◉ 暗譜の確実性の向上
◉ 通し練習による通し慣れ

などをはじめ、

できることはいろいろあるでしょう。

 

こういった中で、比較的抜け落ちがちな観点があります。

「その場面転換では興奮を引きずっていいのかを検討する」

というもの。

ほんらい譜読み段階ですべきことですが

結局最後まで意識せずに本番を迎えることも

あるのではないでしょうか。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

ショパン「バラード第2番 op.38」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、195-198小節)

これは、明らかに興奮を引きずらないほうがいい例。

引きずって pp のところで急いでしまったり

繊細ではない音が出てしまうと

せっかくのエンディングが台無しになってしまいます。

 

切り替えを意識するだけで

出てくる音楽はまったく変わるもの。

奏者自身の興奮のコントロールは

想像以上に演奏へ反映されます。

 

シューマン「謝肉祭 20.ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、117-124小節)

これは、興奮を引きずってもいい例。

目まぐるしいスケールから

エネルギーが放射されるかのように一度 sfz のキメがあり、

また mf からだんだんと坂をのぼり続けていくような音楽です。

こういった音楽では

場面転換でいちいち落ち着かずに

常にある程度の興奮と緊張感をもって

1曲トータルで坂をのぼっていくようなイメージをもつと

魅力的な演出になります。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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