【ピアノ】より強い表現をしている小節を見抜く

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作曲家がダイナミクスで指示していないからといって
必ずしも同じような表現を並べるのでなく、
音域、音の厚み、ハーモニーの使い方などをよく観察して
各部分の表現の差を見抜きましょう。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第8番 K.310 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、126-128小節)

カギマークで示したAとBを見てください。

再現部の終盤であるここでは

大半のピアニストは

強い表現で弾いています。

どちらの小節も

ディミニッシュという

緊張感のあるハーモニーが使われていますし、

提示部には出てこなかった、

あえてわざわざ付け加えられた部分だからです。

譜例の3小節間は、

提示部では対応する部分が出てきません。

 

(再掲)

では、AとBの2つの小節は

同じように強く弾けばいいのでしょうか。

そのような演奏もゼロではありませんが、

後ろの小節のほうがより強い表現だと考えていいでしょう。

異なるディミニッシュのハーモニーを連続させて

緊張感を追い込んでいるうえに、

和音の厚みがより重厚になり

より低い音も使われているからです。

 

Bの小節がこの楽章のクライマックスだと

捉えてください。

展開部の中間に唯一の ff が出てきますが、

それに準じるエネルギーだと解釈して

劇的なラストを演出しましょう。

 

K.310 第1楽章の演奏解説のようになってしまいましたが、

本記事で言いたかったのは、

作曲家がダイナミクスで指示していないからといって

同じような表現を並べるのでなく、

音域、音の厚み、ハーモニーの使い方などをよく観察して

各部分の表現の差を見抜くべきだということです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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