装飾音は軽めに弾くのが原則で
それらがかかる幹の音よりも目立ってしまうと
音楽的に不自然になってしまいます。
多くの楽曲では
装飾音を取っ払って演奏しても
骨格的には一応成立するように書かれており、
装飾音が主役ではないからです。
だからといって適当に扱っていいわけではなく、
その意味をいちいち想像してみるといいでしょう。
以下の例を見てください。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
曲頭のメロディに
早速、装飾音が出てきますね。
考えるべきなのは
声楽的なニュアンスと器楽的なニュアンスの
どちらがふさわしいだろうかという視点。
声楽的なニュアンスだと
ポルタメントをかけてずり上げたような印象を感じるので
装飾音をきわめてさりげなく演奏して
それがかかっている幹の音の着地音程を
きちんと聴かせることになります。
器楽でも楽器によってはポルタメントもできますよね。
しかし、器楽的にとらえると
どちらかというと
前打音、倚音、刺繍音、経過音など
それぞれの装飾音として
「経過音ですよ」というように
音を見えさせるイメージが強くなります。
このニュアンス、伝わりますかね…。
使う楽器がピアノだということは変わりませんが、
表情をどのように解釈するか、
ということ。
(再掲)
ここでは器楽的に感じるので
ある程度はDis音も聴かせたほうがいいでしょう。
この辺りは各奏者の想像によるものなので
正解はありませんが、
必ずこういったことを考えてみる必要はあります。
例えば、ショパンの作品では
ピアノ曲であっても
声楽的なニュアンスを強く感じる作品が
非常に多くあり、
そのことは、ショパン自身も認めています。
ある音同士をつなぐ装飾が出てきたときに
いかにも経過音のように聴かせてしまうか、
それとも、歌のポルタメントのように聴かせるのかで
まったく表情が異なるので、
場面ごとに考えてみることが
必須だと言えるでしょう。
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