「伏線」というのは
「その後に起こることを予めほのめかしておく手法」
のことであり、
表現手段として作曲家がよく使うものです。
「予め見せておく」ので
「予見」などという言い方をすることも。
とうぜん、やってもやらなくても成立はするのですが
その独自の効果を狙って使われます。
この表現を知ったからといって
すぐに演奏が良くなるわけではありません。
しかし、楽曲理解を深める意味でも
見つけられるようにしておくべき。
という記事で取り上げたのとは反対に、
「伏線に感じにくい伏線表現」
について見ていきます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、32-37小節)
譜例は、展開部のはじめの部分。
37小節目からc-mollになり、
これを暗示しているのが32-36小節。
37小節目へ入るまではdurなのですが、
どことなく明るくないdurです。
明るくない理由としては、
第1楽章の曲頭からきているともとれる
左手で演奏する音の重々しさが挙げられます。
かなり低い音域で
音が密集配置されているので、
重く響きますね。
現代のピアノで弾くとなおさら。
この楽曲では
他のところでこのような重い響きは使われていないことも踏まえると、
37小節目への伏線意図があったとも充分考えられます。
(再掲)
また、
32-36小節は
「3小節ひとかたまり(32-34小節)」
「2小節ひとかたまり(35-36小節)」
というように小節の構造が短くなっていく。
加えて、
メロディの息も短くなっていく。
これらの表現も
37小節目への「伏線に感じさせない伏線」の一種と言っていいでしょう。
音楽の緊張感が
37小節目へ向かっていきます。
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