具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.570 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、39-40小節)
40小節目に書き込んだ上側の運指は
ペータース版などに書かれている運指で、
下側の運指は
ヘンレ版などに書かれている運指です。
これら両方の運指を使って
音を出してみてください。
どちらが弾きやすいと感じるでしょうか。
とりあえず、数回のみ弾いてみたファーストインプレッションでは
上側の運指のほうが弾きやすく感じるはず。
下側の運指では
動かしにくい4と5の指を連続で使用しますが、
上側ではそれがないからです。
(再掲)
しかし、練習を重ねていくと事情は変わってきます。
筆者は最初は上側の運指で弾いていたのですが
どうも、丸印で示したC音で
間違えてCis音を引っかけてしまうんですよ。
その次のB音を2の指で弾かないといけないのですが、
そのためには手を奥へ入れないといけないので
直前に弾く3の指も
少し奥へ入れないといけない。
このときに、Cis音を引っかけてしまうんです。
一方、下側の運指を使った場合は、
その問題は一切ありません。
つまり、4と5の指の動きにくささえ練習で解決すれば
後々の安定度は
下側の運指のほうが圧倒的に良い。
こういったことって、
練習しはじめの頃は気がつかないもの。
さっと弾いて弾きやすいほうを優先するのであれば
上側の運指を選ぶことになるから。
以前から書いているように、
演奏するたびに毎回運指が変わってしまうと
譜読みがはかどらず
「暗譜」をする際に足をひっぱる原因にもなってしまう。
「やりにくい」と感じるところがあったら
その際は変更可能ですが、
その場合にも、
「じゃあ、これでいく」
というような「決定」が必要。
それは前提のうえで、
「どうしても音を引っかけてしまう」などの
何かしらの問題が出てきたときには
試行錯誤し、何度も検討すること。
そうすると、たいてい解決するはずです。
今使っている運指で闇雲にさらうことだけが
解決の道ではありません。
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