【ピアノ】パッセージを両手で分担するかどうかの最後の検討

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【ピアノ】ニュアンスに問題がなければ、運指はラクをしよう
という記事で扱った内容の応用編です。
本記事単独でもお読みいただけます。

 

特定のパッセージを弾く難易度を下げるために

両手での分担を検討することは必要。

一方、

「その作品についている一般的イメージ」

を考えてみる必要はあります。

例えば、以下のような例。

 

ショパン「バラード第3番 変イ長調 作品47」

譜例(PD作品、Finaleで作成、14小節目

この連続オクターブは高速でもあるため

両手で分担すると難易度が下がります。

l.h. の指示は

筆者が書き込んだものです。

しかし、ここで少し寄り道をして

作品のイメージを考えてみましょう。

 

右手のみで弾くオクターブの連続では

どうしてもレガートにできないので、

ダンパーペダルを使っても

完全なレガートにはなりません。

我々が聴き慣れた

どことなくパラパラしたサウンド

が生まれることになります。

 

一方、両手で分担すると完全なレガートにすることができます。

ショパンはスラーも書いているので

作曲家の意志に反していない…はず。

 

しかし、

このパッセージがレガートで聴こえてくると

少なくとも筆者は

多少の違和感を感じるんです。

というのも、

右手のみで弾くときに出てくるサウンドのイメージが

強く頭に残っているから。

 

多くの巨匠が右手のみで弾いて録音しているので

そういった演奏を聴いてきましたし、

筆者自身がこの作品に取り組んだときも

右手のみで弾きました。

このような経験からイメージがあるために

不自然に感じてしまう。

同じ内容を感じたことのある方もいるはず。

 

(再掲)

本記事で言いたいことは、

たとえ両手で分担できて

なおかつ、

どちらの奏法によるニュアンスでも問題ない場合であっても、

最後の検討ポイントに

「一般的なその作品のイメージはどうか」

という項目を加えてみてほしいということ。

そこまでした後でしたら、

どの方法を選んでも

それはそれで演奏者の自由です。

 

この譜例の場合、

ノンレガートをペダルでサポートしているようなニュアンス

を優先したいのであれば、

◉ 右手のみで弾く
◉ 両手で分担して難易度を下げつつも、ややノンレガートのタッチで弾く

という複数の選択肢を考えることができます。

 

些細なことを大切に

楽曲のすみずみまで考えをめぐらせましょう。

考え方を変えれば、

音楽に「些細なこと」なんてないのかもしれませんね。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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