バロックの装飾音は
一部の例外を除き、
書かれていないところにつけるのも
書いてあるものを省略してしまうのも
どちらも自由とされていました。
その点は、今の時代よりも演奏家の裁量に任されていたわけです。
このことについては、
バロック音楽の専門書のほか、
以下のピアノ専門書籍などで解説されています。
◉ ピアノが上手になる人、ならない人(著 : 小林 仁 / 春秋社)
一方、例えばショパンの装飾音を勝手に省略してしまうことは
原則、望ましくありません。
この時代の楽曲は
どういった装飾音を
どのようにつけるのかもすべて含めて、
作曲家の意図した表現となっています。
だからこそ、
その装飾音があることで生まれる感覚的表現を
感じ取る必要があるでしょう。
例えば、以下の譜例を見てください。
ショパン「ピアノソナタ第2番 変ロ短調 作品35 第3楽章(葬送行進曲)」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、37-38小節)
丸印で示したB音の前で
さまざまな装飾がされていますが、
仮に、8分音符装飾音として書かれている
直前のC音を省略して弾いてみてください。
たった一音を省いただけで
丸印で示したB音の意味がまったく変わってしまうと思いませんか。
この装飾音C音の効果で
B音の訴えかけが強化されるんです。
一般的には、装飾音が入ることで
「長く続くトリルによる持続効果」や
「旋律を飾る効果」など、
あらゆることを表現できます。
一方、
上記のような
感覚に訴えかけてくる効果についても
感じ取るようにしましょう。
「その装飾音があることで生まれる感覚的表現を感じ取る」
これが、譜読みで読み取るべき
隠れた課題となります。
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