運指を決めるときには
何を優先するかを決めなくてはいけません。
「覚えやすさをとるか、それとも、速く弾けるほうをとるか」
という例を挙げます。
ショパン「エチュード Op.25-7」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、52小節目)
上の譜例に記載したのは
コルトー版で紹介されている指遣いで、
下の譜例に記載したのは
初歩の教則本などでよく見られる
123の指しか使わずに半音階を弾く指遣いです。
123の指しか使わないほうが
圧倒的に運指を覚えやすいのですが、
いざテンポを速くピアニスティックに弾こうと思うと
コルトーが示した運指のほうが
断然効率よく打鍵できるのです。
練習次第では相当速く弾くことができます。
ひとつ理解すべきなのは、
ゆっくりさらっているときには
123の指のみしか使わないほうが弾きやすく感じるという事実。
単純で覚えやすいからですね。
だからこそ、
運指の知識をたくわえておかないと
ゆっくり弾いたときの最適にあわせて決めた運指を
いつまでも使ってしまう。
正直、どちらの運指でも弾こうと思えば弾けます。
しかし、
高度な仕上がりを目指すのであれば
コルトーの運指を使ったほうがいいでしょう。
速く弾けるほうをとるか、覚えやすさをとるか、
ということです。
ちなみに、
著名なピアニストの 故 園田高弘 氏は
「最新ピアノ講座 第6巻 ピアノ技法のすべて(音楽之友社)」
という書籍の中で
半音階において
以下の運指を愛用していたと語っています。
(譜例)
人間の手の構造上、
「12345」「1234」「2345」
という指遣いは、きわめて迅速、確実に使用することができるものであり
電光石火の奏法が可能となる。
(引用終わり)
とのこと。
筆者も習得しましたが
確かに速く弾ける運指となっています。
音を出して試してみてください。
先程のコルトーの運指を見てみると
この迅速に使用できる運指が適切に含まれていることが
分かりますね。
こういった運指のパターンを引き出しへ入れておくのも
テクニックの学習のうちです。
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