「和音を両手でどのように分割するのか」
ということについては
さまざまな作曲家があらゆる指示をしていますが、
演奏者はどうしても「弾きやすさ」を優先してしまいがち。
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
シューマン「謝肉祭 20.ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)
譜例の最終小節では
楽譜通りに演奏するとなると
手を交差させて左手で最高音を弾くことになります。
しかしこれを、
「下から、左手で2音・右手で2音」
のように勝手に和音分割を変えてしまっている演奏があります。
それでも成立はしますし、
むしろ弾きやすいことは事実。
しかし、シューマンは
あえて手を交差させて演奏してほしいと
楽譜にメッセージを残しているのです。
◉ 手の交差による、視覚的なパフォーマンス性
など、いくつかの意図があるからなのでしょう。
他の作曲家が同じようなところで手を交差させない、
などというのは関係のないこと。
原則、その楽曲ではその作曲家の意図を第一に演奏しましょう。
(再掲)
ちなみに、最後から3小節目では
左手で弾く和音と右手で弾く和音が交差して
「入れ子」になっていますが、
ここも同様の理由で、原則楽譜通り演奏すべき。
譜読みをするというのは、
このような作曲家の意図をていねいに読み取っていくことも
含めてのことです。
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