具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
運指を書き込んだカギマークの部分を見てください。
この運指はヘンレ版などでもとられているもので、
ペダルに頼らずとも音をつなげられる好例。
しかし、ひとつ問題が生じます。
6小節目の替え指をするあたりが
かなり弾きにくいように感じませんか。
ここで「弾きにくい運指だから」といって即刻却下してしまうと
非常にもったいない。
書かれている運指を切り捨てる前に
これから解説するような
少しの工夫をしてみて欲しいと思います。
(再掲)
5小節目の5の指へ移行するところと
6小節目の替え指をするあたりが弾きにくいので、
これらだけを何とかすればいいわけです。
6小節目の替え指の何が難しいのかといえば、
替え指をした後に
3拍目の音を弾くべく4の指を移動させる際、
黒鍵に引っかかるんですよ。
Allegro assai とは
おそらく性格的なものですし
それほど急速なテンポではありません。
しかし、
ある程度の速度が求められていることも
この部分の問題を大きくしていると言えるでしょう。
(再掲)
では、5-6小節はどのように弾けばいいのでしょうか。
以下のようにやってみてください。
「上行するのにも関わらず左手の4の指の後に5の指がくる難しさ」
を下げるために、
1拍目の音を「4 1」で弾いたらすぐに
手をやや手前へ滑らせながら
3拍目を5の指をつかむ。
4の指が黒鍵へ引っかかるのを避けるために、
1拍目の音を「4 3」で弾いたらすぐに
手をやや手前へ滑らせながら
4の指を5の指へ替える。
替えたら手首を少し上げると
3拍目の音を「4 2」でつかめるポジションになる。
奏者によって手の大きさなどは異なるので
このやり方というのは
必ずしも正解とは限りません。
一方、ここで伝えたいのは
上記の譜例をうまく弾くコツではなく、
少しの工夫をすることで
書かれてはいるもののムリだと思っていた運指も
使える可能性があるということ。
そしてそれが、
後で「切り捨てなくて良かった」と思えるくらい
良い運指の可能性も充分あるということ。
少なくとも、譜例のところでは
「ペダルに頼らずとも音をつなげられる」
という意味では
ぜひ検討するべき運指となっています。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント