ポルタメントとは
演奏や歌唱において、ある音から次の音へ移る際、
跳躍させずに急速に滑らせるように音間を移行していく奏法・唱法
(抜粋終わり)
という意味で、
用語自体は耳にしたこともあるかと思います。
弦楽器のポルタメントのような表現を
ショパンがピアノ曲で用いている例を紹介します。
ショパン「ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、17-20小節)
18小節目と20小節目の小音符を見てください。
弦楽器のポルタメントの表現を模しているかのよう。
あるいは、声楽のポルタメントのような印象にもとれますね。
18小節目でいうと、
重要な音は大きな音符で書かれた2つの音、
出発元のEis音と着地先のA音です。
つまり、
これらの音が耳に聴こえたうえで
小音符はもっとさりげなく聴こえれば、
ポルタメントとしては
いちばんバランスの良いものとなります。
dolciss.と書かれていますが、
まさにうってつけの発想標語だと言えるでしょう。
いくつかの版では
くずれ落ちる小音符のところに
ソフトペダルを用いるように指示しています。
(再掲)
もうひとつ、表現のヒントを挙げます。
【ピアノ】弦楽器のポルタメントのような表現をピアノでつくる方法
という記事で、
レガート奏法を応用すると
ピアノでポルタメントのような印象を表現することができる、
と解説しました。
このやり方は、
上記、ショパンの譜例のような
ポルタメントの音自体が書かれている場面でも
応用することができます。
つまり、
18小節目であれば
出発元のEis音をフィンガーペダルで残したまま
小音符を演奏するんです。
とても美しい効果を出すことができますので、
解釈のひとつとしてお試しください。
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