技術的に新しいことを身につけようとすると
今までの奏法で安定していた状態が一時的に崩れます。
それが「身体の使い方」など
技術の根幹をなす要素だとなおさらです。
しかし、
それを怖がらずに乗り越えて新たな表現をつかめた方が、
技術的にも精神的にも上のステージへ行けるでしょう。
フィギュアスケートなどでも
よく話題に挙がる内容。
このブログを見てくださっている方は
熱心な大人の学習者の方が多いと思いますので、
専門的な事例ではありますが
音楽大学でみられる例を挙げましょう。
音大の学部では、
入学実技試験、卒業実技試験はもちろんのこと、
「定期実技試験」というものが毎年課されます。
年に1回おこなう場合もあれば、
年に数回おこなう学校もあります。
しかし、
この定期実技試験がある意味厄介です。
相当なクオリティで演奏を仕上げなければいけませんが、
そのためには
「身体の使い方」や「音の出し方」などといった
根幹となる技術にテコ入れができないのです。
それをすると
一時的に奏法が不安定になるからです。
だからといって、
多くの場合は
ひとつ定期実技試験が終わったら
またすぐに次の定期実技試験の準備を始めることになります。
そして、
その連鎖に拍車をかけるように
学生は友人に対抗するかのごとく
ものすごいレベルの高い楽曲に挑戦しようとしたり
毎月のようにコンクールに出ようとするケースも多い。
そして、
指導者側は
「とりあえずまとまって聴こえるように楽曲を仕上げるためのレッスン」
をすることになります。
これは、学生が悪いと言いたいのではありません。
教える側も、
根幹となる技術にテコ入れする指導は非常に骨が折れるため
手を出さないケースがあるのです。
もっと言うと、
曲想のこと以外は教えられない指導者が
音大の教員ですらいらっしゃいます。
たとえ音楽大学や芸術大学に
優秀な成績で入学してきた学生であっても、
やはり技術的な課題は山積みだったり、
根幹から立て直さなければいけないほど
身体に負担のある弾き方をしている学生は
相当数いるのが現状。
あなたが
「定期試験を控えている現役音大生ではない」
ということを前提とします。
もしすでにある程度のレヴェルに達している場合、
さらに上を目指したいのであれば、
少し舞台を控えて
その間に自身の「技術的な要素」はもちろん、
◉ レパートリーの内容
などのあらゆることを見直してみることも
必要なのではないか。
1回のステージは100回のレッスンよりも
演奏家を成長させてくれます。
しかしそれは、
「いつでもどういった条件でも」
ではないと筆者は感じています。
両者のバランスが大事。
◉ 本番の回数が多すぎて、自身の音楽とゆっくり向き合う時間が無い
これらは両極端で、
どちらになってしまっても理想とは言えません。
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