具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、62-64小節)
ここでは sf が4回出てきていますが、
それぞれをまったく同じように強調してしまっては
音楽的ではありません。
まず、
最初の2回が出てくる62小節目と
残り2回が出てくる63小節目を比較してみて
何が異なっているのかを調べてみましょう。
どちらの小節も
T→D→T→D(Tはトニック、Dはドミナント)
というように、
16分音符2つごとに機能がチェンジ。
しかし、後半の63小節目のほうは
第9音であるE音にフラットが付いてEs音になっていますね。
(複雑になるので今回は取り上げませんが、和声学では和音名に対して細かな呼称があります。)
(再掲)
つまり、簡潔に言うと
63小節目のほうが暗い響きになっています。
これを考慮してか
何人かのピアニストは
63小節目へ入ったときにややダイナミクスを落として
かつ、音色を曇らせるように弾いている。
結果として、sf の強調の仕方も
62小節目よりやや遠慮がちにしている。
そうすることで、
64小節目の軽快なパッセージとの
表現の差も出てきますね。
この解釈が唯一の正解というわけではありません。
しかし、
小節ごとに和声が変化して色も変わっていることを考えると
後半の2回の sf もすべて同じような強調の仕方をするのは
音楽的でないと理解できるはずです。
必ずしも、和声の知識をもっていなくても構いません。
実際にピアノで音を出してみて
その響きが自分の感覚に対してどう訴えかけてくるのかを
感じたうえで、
sf のニュアンスを考えてみましょう。
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