まず、弦とダンパーとの関係について復習しましょう。
(写真:自身で用意した写真です。無断転載はしないでください。)
ひとつの鍵盤に対して
対応する「弦」があり
対応する「ダンパー」という
弦の振動を止める黒い部品が用意されています。
この写真の音域では、弦は3本ずつ張られていますね。
(厳密にいうと、超高音域のみダンパーはついていません。)
鍵盤を押さえたままにしているときというのは
その鍵盤に対応するダンパーのみが
弦から離れる構造になっているため、
音が響き続ける。
一方、通常はダンパーが弦にくっついている状態であるため
弾いても鍵盤を上げ戻してしまえば
再び弦にダンパーが密着して
音は消えていく。
また、ダンパーペダルを踏むと
すべてのダンパーが弦から離れる仕組みになっているため、
ペダルを踏んでいるときというのは
一種のトンネル状態であり、
どの音域で弾いてもよく響く。
ここまでを踏まえたうえで
以下の内容について考えてみてください。
ペダルを踏んだままの状態で
何かしらの音を弾き、
ペダルを半分だけ踏み替えると
響いている音が少し減衰しますが
完全には消えません。
これはどうしてだと思いますか。
ダンパーが一瞬弦へ触れて
すぐにまた離れるので
少しだけ消音されるに留まるわけです。
ダンパーが弦の響きを完全に止めるためには
◉ ある程度の時間密着する
これらの条件を満たさなくてはいけません。
特に大きなピアノになるほど、この傾向が強くなっていく。
ちょっと触れただけでは、
密着していませんし
響きを完全に止めるためには時間が短すぎます。
上記のような
「ダンパーを一瞬弦へ触れさせて、また元に戻す」
というのは、
応用範囲が広く
非常に重要なペダリングテクニック。
この動作のことを
言葉通りですが
「ダンパーで弦を叩く」
と表現することがあります。
ハーフペダリングを使うのも
ペダルそれ自体が響きを変えているのではなく
それによってダンパーが弦を叩くからこそ
響きが変わるわけです。
上記のようなペダリングを求めるときに
「弦を叩いて」
などと指導するピアノ教育はほとんど聞きませんが、
結局はそういうこと。
このように理解しておくと、
響きをコントロールしている感覚を
もっとダイレクトに感じることができます。
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