【ピアノ】片方の段に書かれている難所を、両手で分担させるかどうか

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ひとつの音型を両手で分担することによるデメリットを
弾きやすくなるメリットと天秤にかけて
自分なりの最善策を考えていきましょう。

 

高度なパッセージや音型などが出てくる場面で

技術的な難易度を下げるために

両手で分担するケースはありますね。

そういったときに考えるべきなのは、

分担することによるメリットとデメリットについて。

 

例えば、

「ピアノ演奏おぼえがき」 著 : ハンス・カン  訳 : 城 房枝  / 音楽之友社

という書籍には、

以下のような記述があります。

(以下、抜粋)
ベートーベンのソナタ作品111の初めの部分で、
左手の跳躍を間違えないように両手にわけることがある。
この跳躍は集中と勇気と自信を要求する。
当然前もって高度の技術をマスターしていることが前提になっている。
決して簡略化してよいものではない。
ベートーヴェンはこのソナタを演奏するのに、
十分な技術的熟達と注意を意のままにできるピアニストを
想定しているのである。
隣の鍵に触れる危険のあるということも
この部分の緊張を高めているのである。
(抜粋終わり)

 

この記述は的を得ていると感じますが、

では、これに該当しないのは

例えばどのようなケースなのでしょうか。

 

以下の譜例を見てください。

 

モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.281 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、34小節目)

この譜例のところでは、

上段のすべてを右手で弾こうとすると

着地の3度和音が非常につかみにくいのですが、

補足したように

上段のパッセージの一部を左手でとってあげると

格段に弾きやすくなります。

 

このケースのように、

流れの中で一部分を分担するのであれば

それほど問題はないでしょう。

上記、ベートーヴェンの例とどのような違いがあるのかを

比べてみてください。

 

とうぜん、片手のみで弾いたほうが

一本の線として一息で弾いている雰囲気が出るので、

パッセージごとに

どのような弾き方が適切なのかを

注意深く検討することは忘れずに。

 

一応分担しようと思えばできる例というのは

数えきれないほどあるので

これ以上の譜例は挙げませんが、

いずれにしても考えてほしいのは、

「その分担をすることで失うものはあるのか」

という視点です。

そのデメリットを

分担することで弾きやすくなるメリットと天秤にかけて

どうするのかを決めていきましょう。

 

◉ ピアノ演奏おぼえがき 著 : ハンス・カン  訳 : 城 房枝  / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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