♬ 3段譜が出てくると萎縮してしまう
♬ 3段譜が出てくる楽曲は避けてしまう
♬ 3段譜に限らず、譜読みが得意になりたい
こういった方へ向けた記事です。
ある程度学習が進んでくると
「一部もしくは全部が3段譜で書かれた楽曲」
に出会うことも多いはずです。
例えば、
◉ ラヴェル「鏡 より 鐘の谷」
◉ ドビュッシー「前奏曲集 第2集 より 花火」
など、挙げ出したらキリがないほどです。
3段譜が使われる理由はさまざまですが、
◉「多声になっていますよ」という多層性を分かりやすく示すため
この2つが代表的な理由です。
中には、
通常の2段の大譜表でも平気で書けるような内容が
3段で書かれている場合もあり、
一瞬、学習者を驚かせます。
しかし、
「慣れてしまえば、むしろ譜読みの味方」
ということを理解しておくと
ものすごく気が楽になります。
無理に2段に詰め込まれているよりも
各パートの役割分担がはっきりと読み取れるからです。
かえってラッキーくらいに思ってください。
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ドビュッシー「前奏曲集 第2集 より 花火」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)
ここでは、
いちばん上の段に
「フランス国家『ラ・マルセイエーズ』の引用」が出てきますが、
直後、真ん中の段に「この楽曲で何度も使われてきたモチーフ」も登場。
そして、
いちばん下の段に
「 pp のトレモロによる背景」が存在します。
つまり、とても多層的。
書こうと思えば
2段で書けないこともないところですが、
それぞれが別の段に書かれることで
その多層さが明確になっていますよね。
作曲家は必ずしも、
「2段では書けないから3段で書く」
というわけではないのです。
都合のいい箇所のみを取り出したわけでなく、
「花火」では、
はじめて3段になる3小節目から
多声的な意味が表現されているのです。
譜例(3-4小節)
3段で書かれていることで、
「(いちばん上の段の)このオクターブは、まったく別の場所から聴こえてくる音ですよ」
というニュアンスが強調されますよね。
「段が増える利点もある」
ということを分かって頂けたと思います。
基本的に3段譜は譜読みの味方。
3段譜に強くなると
通常の2段譜を読む時にも
役割分担などを見抜く力が上がり、
それ以前よりも立体的な譜読みができるようになるのです。
怖がる必要はありません。
3段譜が出てくる作品にも積極的に挑戦してみましょう。
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