「シャンドール ピアノ教本 身体・音・表現」 著 : ジョルジ・シャンドール 監訳 : 岡田 暁生 他 訳5名 / 春秋社
という書籍に、
レガートについての
以下のような記述があります。
グループの弾き始めでは手首・手・腕を比較的低く構え、
弾き終わりでは高くする。
これが例外なき大原則である。
(中略)
腕を持ち上げる度合いは、いつもの要因で決まる。
グループが黒鍵と白鍵のいずれで終わるのか、
そのパッセージが鍵盤のどの位置にあるのか、
その指でグループを弾き終えるのかといった要因である。
(抜粋終わり)
この解説は重要な点を突いています。
すでにできる奏者にとっては当たり前のことのようですが、
これを言語化してくれている書籍は
かなり限られているんです。
言葉だけではイメージがつきにくいと思うので、
具体的な譜例を用意しました。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、76-77小節)
右手も左手も
1拍ずつスラーがかけられたカタマリを
連続して演奏していきます。
右手のパッセージでやってみると
特に分かりやすいでしょう。
スラーのはじめの音では手首が入り(ダウン)、
4音ひとかたまりを演奏するなかで
だんだんと手首を上げていきます(アップ)。
手首を山の形にするのではなく
「手の甲も一緒に上げていく」
というイメージをもってください。
手首を上げていくのはアップの動作なので、
次のスラーはじまりの音をダウンで演奏する準備をしていることにもなる。
この繰り返しで
レガートのカタマリ同士を
つないでいくわけです。
(再掲)
ここからは
レガート奏法の解説を超えて
関連テクニックの話をしたいと思います。
仮にですが、
ダウンとアップを逆の動作にして弾いてみてください。
弾きにくくて仕方ないはず。
つまり、
「用いるべき動作は、音型ごとにだいたい決まっていて、それはすでに楽譜に書かれている」
ということ。
あまりにも弾きにくいので
逆の動作で弾く方はいないと思いますが、
手首を完全に固定して弾いてしまう方は
ときどき見られます。
先程も書いたように
音型ごとに用いるべき動作というものがあるので、
譜例のところで手首を固定して懸命にさらっていても
一向に上手く弾けるようにはなりません。
仮に弾けるようになったとしても、
もっとラクに弾ける方法はあるということになります。
(再掲)
手首を使うといっても数cmの世界であり、
やり過ぎたら
ただのムダな動作になってしまいます。
上記の譜例を使って、
まずは、手首を固定したまま弾いて
そのやりにくさを体感してみてください。
そして、
本記事を参考に
少しずつ手首を使って
「やりにくさがなくなる中で、いちばん動作が少ないポイント」
を見つけましょう。
やってみれば割と簡単に見つけられるはず。
このような音型では
手首を使わなすぎても使い過ぎても
弾きにくいですから。
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