具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
譜例(Finaleで作成)
ここでは4声体になっていますが、
下段の上声、つまりテノールにメロディクなラインがきています。
ただし、
アルトやバスも同時発音しているので
テノールの「入り」がぼやけがち。
ピアノという楽器は
ひとりで複数の声部を操ることが多く
特定の声部を際立たせたいときに
それが内声だと
少々苦労を伴います。
(再掲)
では、どうすればいいのかというと、
この譜例の場合は
バスとテノールによる5度音程にアルペッジョをつければいいんです。
そうすることで
バスよりも一瞬遅れてテノールが鳴るので
テノールの入りがよく聴こえるようになります。
それに加えて、やや指圧を深くすれば完璧。
という記事でも書きましたが、
声部の入りさえ聴衆に拾ってもらえれば
以降はゴリゴリ弾かなくても
そのラインを聴いてもらえます。
覚えておくと
ピアノアレンジのテクニックとしても使えますね。
こういった工夫によるアルペッジョの補足は
クラシック作品で取り入れても
楽譜を無視していることにはなりません。
必要に応じてやってみてください。
内声のメロディを聴こえさせる方法と状況は異なりますが、
世界的ピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダ氏も
そうすることで右手で演奏する装飾音が活きるから。
などと、
2005年にNHK教育テレビジョンで放送されていた
スーパーピアノレッスンのショパン編の中で解説していました。
必ずもとの楽譜を理解しておく必要はあります。
一方、そのうえで表現したい内容に必要なのであれば
許される程度の変更だと言えるでしょう。
(再掲)
ちなみに、
権利の関係で原曲のメロディ部分は
譜例に掲載出来なかったのですが、
上記の譜例は
筆者がピアノ編曲した
サザンオールスターズ「いとしのエリー」における29小節目です。
音源を聴いて
譜例の部分に補足したアルペッジョの効果を
耳で確認してみてください。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント