多くの作品では
表情をしっかりとつけたほうが
魅力的に聴こえます。
一方、
あえて抑揚などを平らにして
無表情で演奏したほうが
良さがでる場面というのもあります。
例えば、
以下のようなもの。
ドビュッシー「子供の領分 4.雪が踊っている」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
譜例のところは
どことなく、
モノクロの世界というか
淡々と時間だけが過ぎていくような印象を受けませんか。
無表情に淡々と弾き進めてみるといいでしょう。
手首や身体をほとんど動かさずに
指先の軽いタッチによる運動で弾いていくと
無表情を演出できます。
もう一例見てみましょう。
ラヴェル「夜のガスパール より 絞首台」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
楽曲のタイトルからもイメージつきますが、
この例も
無表情で1秒1秒進んでいくようなイメージを受けます。
ラヴェルから直接、
彼が作曲したピアノ音楽の大部分のレッスンを受けたという
ペルルミュテールによる発言が収載されている書籍、
「ラヴェルのピアノ曲」 著 : エレーヌ・ジュルダン・モランジュ、ヴラド・ペルルミュテール 訳 : 前川 幸子 / 音楽之友社
によると、
ラヴェル自身は
この作品についてペルルミュテールへ
と話したそうです。
28小節目には
ラヴェルによる指示で
「少し浮き立たせて、しかし、無表情に」
とさえ書かれています。
つまり、作曲者としても
ある部分では無表情に演奏してもらうことを
望んでいたわけですね。
ただし、この作品は
楽曲が進むにつれて
部分的に表現的になって表情が見えるところも出てくるので、
ひとつのイメージで統一しようとせずに、
場面ごとの最適な表現を検討してみましょう。
◉ ラヴェルのピアノ曲 著 : エレーヌ・ジュルダン・モランジュ、ヴラド・ペルルミュテール 訳 : 前川 幸子 / 音楽之友社
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