クラシック音楽では
作曲家が選んだ音を変更することは
原則おこないません。
しかし、
弾く音は同じでも
弾き方工夫をすることで
明暗を少しコントロールすることができます。
とうぜん
「あるひとつの音を、どのような音色で演奏するのか」
という観点は必要ですが、
今回はもう少し別の観点から見ていきましょう。
2パターンの例を挙げます。
♬ 上行型と下行型に着目する
具体例を挙げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
フォーレ「舟歌 第4番 変イ長調 Op.44」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲尾)
このような上行型と下行型を含む動きに注目しましょう。
◉ 下行型を聴かせると少し暗さ(深さ)が出る
どこを主張させるかによって
想像以上にニュアンスに影響があるのです。
これには、
演奏ではもちろん
作曲面でも実体験があります。
以前に
ピアノとヴァイオリンのデュオ作品を作った際、
「なんだか暗く聴こえる」
と依頼主に言われて
リテイク(作り直し、修正)が続きました。
何度か話し合いをしているうちに、
「その相手にとって、下行する動きが暗く聴こえる要素だった」
ということが分かったのです。
とある研究によると
この傾向は特に
音楽経験のない方が音楽を聴く場合に顕著なのだそうです。
「下行型を聴かせると、少し暗さ(深さ)が出る」
という部分と切り離して考えることは出来ません。
♬ オクターブのバランスに着目
メロディやその他のラインに出てくる
オクターブユニゾンに動きにも着目しましょう。
(譜例)
譜例のダイナミクス表示は極端なものですが、
◉ 下のラインを聴かせると少し暗さが出る
これは、
室内楽などの合奏で解釈を加えるときにも
非常に重要になってくる観点。
譜例左のように、
上のラインの方が強調されると全体のラインがくっきりします。
譜例右のように、
下のラインの方が強調されると響きが重視されます。
このニュアンスの差が
聴き手に明暗を感じさせる効果もあります。
わずかな差ですが、
言い換えれば
そのわずかな差を表現出来るのがピアノという楽器だということ。
細かなことにこだわって
表現の幅を広げていきましょう。
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