【ピアノ】メロディの非和声音でペダルを踏みかえるかどうかの考え方

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メロディに非和声音が出てくるときに
ペダルを踏みかえるかどうか。
この部分の考えていき方を
具体例とともに解説します。

 

テンポのゆるやかな作品における

メロディに出てくる非和声音というのは、

常にダンパーペダルのペダリング問題を投げかけてきます。

 

例えば、以下の譜例を見てください。

 

J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第22番 BWV 867 ロ短調 より プレリュード」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

カギマークで示したところでは

メロディに非和声音も出てきますが、

ペダリングをどうすればいいのでしょうか。

 

まず、バスのB音の連打の音響をつなげるかどうかを

判断しなければいけません。

切って弾く場合は問題ないけれども、

つなげたい場合、同音連打なのでペダルを用いないとムリ。

しかし、ペダルを用いると

メロディの非和声音が濁る可能性もある。

ここで考慮すべきなのは「テンポ」です。

速めのテンポで仕上げるのであれば

16分音符2個ぶんの非和声音の濁りは気にならない可能性がある。

しかし、

速めのテンポでペダルを細かく踏みかえると

音楽の流れがギクシャクしてしまう。

そこで、自身が求めている表現としては

どれくらいのテンポが適切なのかということを考えて

それを優先させたうえでペダリングを考える必要が出てきます。

16分音符ごとに踏みかえるのではなく

ハーフペダルにして細かく踏みかえないようにするのかどうかについても、

考慮しなければいけません。

 

(再掲)

参考までに

筆者がどのようにしているのかを紹介します。

 

バスの保続音はペダルで音響をつなげる前提として

ペダリングを考えていきます。

ヘルマン・ケラーは

「バッハの平均律クラヴィーア曲集」 著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

という書籍の中で♩= 50-54 のテンポを提案していますが、

このテンポでは

筆者の求めている表現からするとせわしなく感じるので

♩= 42 程度でテンポ設定しました。

その場合、ダンパーペダルを踏みかえないと

メロディの非和声音の部分で濁るので

原則8分音符ごとに踏みかえながらも

16分音符で動く部分は

音符ごとに踏みかえるようにしました。

ただし、いちばん最初のメロディの出始めは

3度でアルトとハモっているわけではなく

濁りが強くないため、

ここはハーフペダルでの8分音符ごとの踏みかえにすることで

曲頭の音楽の流れがギクシャクしないように考慮しています。

 

言葉で書くと難しく感じるかもしれませんが

やっていることはシンプルで、

メロディの非和声音でペダルを踏みかえるかどうかを
楽曲の特性や楽器の特性を踏まえたうえで
音を出しながら ”耳で” 判断して決めていく

このようにまとめられます。

 

メロディを濁らせたくないからといって

必ずしも正直にペダルを踏みかえればいいだけではない、

ということを

今一度認識して欲しいと思います。

 

◉ ピアノで同音連打するときには、音響を完全につなげるためにはペダルに頼るしかないこと
◉ ペダルの有無で、メロディ以外の声部にも影響して伸びたり切れたりすること
◉ テンポによっては、ペダリングによる濁り方が変わってくるということ
◉ テンポによっては、細かすぎるペダルの踏みかえが音楽をギクシャクさせる可能性もあること

これらをはじめとしたたくさんのことを同時に考慮したうえで

自分の耳で聴いて許せる最善の落としどころを

探っていかなくてはいけません。

ある意味、ペダル付けというのは「楽曲分析(アナリーゼ)」とも言えますね。

 

メロディに出てくる非和声音とペダリングの問題というのは

あらゆる難易度、あらゆるジャンルの作品で向き合うことになります。

「何も考えずに、とりあえず踏みっぱなしにする」

というペダル付けだけはしないようにしましょう。

 

本記事で取り上げた、ペダル付けのポイントをまとめます。

◉ 楽曲の特徴を理解する
◉ 楽器の特性を知る
◉ 同音連打の扱い
◉ メロディ以外の声部への影響
◉ テンポによる濁り方の違い
◉ 細かすぎるペダル変更の影響
◉ 実際に音を出して耳で判断する
◉ きちんと耳を使い「とりあえず踏みっぱなし」は避ける

とうぜん「ペダルの有無による音色」や「ペダル効果」など

本記事で触れていない考慮すべきことは

他にもたくさんありますが…。

 

バッハの平均律クラヴィーア曲集
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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