【ピアノ】同一ダイナミクスの中におけるニュアンスの付け方

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同一ダイナミクスの中におけるニュアンスの表現方法については
迷う方もいると思うので、
具体例を挙げて解説していきます。

 

フォルテというのはフォルテ領域、

ピアノというのはピアノ領域という意味。

つまり、その中で

ある程度ニュアンスをつける必要があります。

フォルテと書いてあるからといって

すべての音を同じ強さで弾くと音楽的でないのは

とうぜんのことですよね。

フォルテであれば、

領域全体を聴いたときに

フォルテのエネルギーが伝わってくればいいんです。

 

とは言ったものの、

具体的にどのようにニュアンスをつけていけばいいのか

迷う方もいると思うので、

ひとつ具体例を挙げて解説していきます。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第8番 K.310 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、5-7小節)

上の譜例Aが原曲で、

下の譜例Bがダイナミクスのニュアンス例。

 

以前にも取り上げたように、

モーツァルトの作品では

fp の記号が多くを占めているので、

p は、豊かで歌うような mp から

きわめて弱い p までを意味するとされています。

p は通常の p 程度を意味していると考えて

譜例Bを見てください。

 

(再掲)

まず、点線で区切った部分までは

ファンファーレを思わせるので

ノンストップで f で弾き切ります。

 

問題はこの先。

原曲では p と書かれていますが、まずは mp で始めます。

そうすることで直後のため息音型での

デクレッシェンドが効いてきますので。

スラー終わりの音が大きくなってしまうと

尻餅をついたような印象になってしまうので

デクレッシェンドの松葉を表現しましょう。

 

6小節(譜例の、左から2番目の小節)の2拍目では

下段にもため息音型が出てきますが、

こちらは「追っかけ」なので

上段のため息音型よりも目立たないようにするべき。

したがって、

p から pp へデクレッシェンドします。

6小節2拍目では上段下段ともに p としましたが、

このようにダイナミクスをあわせると

弾くときに頭が混乱せずに済みます。

 

(再掲)

以降は同型反復なので

同様にダイナミクスニュアンスをつけていけばOK。

 

mppp が出てくるので

もはや p 領域ではないように感じるかもしれませんが、

もしやりすぎだと思ったら

mppp のダイナミクスの幅を

p へ寄せてみましょう。

理解しやすいように

具体的なダイナミクス記号を使っているわけです。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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