【ピアノ】なぜ「短い音符ほど弱く弾く」が原則なのか

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ピアニストのアレクサンドル・トラーゼも語っているように、
「短い音符ほど弱く弾く」
というのは
例外こそあれどクラシック音楽の原則とされています。
ではなぜ、このようにすべきなのでしょう。

 

「NHKスーパーピアノレッスン 大曲に挑む」

の中で、トラーゼは次のように指導していました。

(以下、抜粋)
例外はありますが
クラシック音楽の原則を教えます。
「短い音符ほど弱く弾く」です。
4分音符は8分音符より強く弾きます。
16分音符、32分音符と弱くなっていきます。
(抜粋終わり)

 

確かに、例外はあります。

旋律の表情は

フレーズの形などにも影響されるので。

 

しかし、

トラーゼの言う原則は

おおむね当てはまると考えていいでしょう。

その理由は、

「ピアノ奏法の基礎」 著 : ジョセフ・レヴィーン  訳 : 中村菊子 / 全音楽譜出版社

という書籍にヒントがあります。

(以下、抜粋)
ピアノの曲のレガートだが、
レガートのフレーズの音価が長ければ長い程、
音をつなげるのが困難になるということだ。
(中略)
ピアノでは、打鍵がなされた瞬間から音は消えてゆくので、
(中略)
非常にゆっくりなレガートのパッセージでは困難に直面することがある。
そのような場合、
レガートの始めの音は、
続く音が出る前に消えてしまわないように
たっぷりした音量でひくことが大切だ。
また、続く音をひくときは、
始めの音が弱くなっていることを考慮に入れて、
続く音をひくとき、
強くとび出さないように気をつけてひかなければならない。
(抜粋終わり)

 

要するに、

ピアノは減衰楽器なので

長い音価ではたっぷりした音量で弾いておかないと

次の音が出てくるときには消えてしまっていて

レガートにならんのですよ、

ということを言われています。

 

長い音価の音は大きく

短い音価の音は小さく弾く原則は、

「レガートのため」というのが

まずは大きな理由のひとつです。

 

加えて、

細かな音価の音符というのは

一種の軽さが表現されるためであったり

少なくとも長い音価のものよりは

動きが生じるわけなので

長い音価と同じ音量で弾かれてしまったら、単純に重い。

 

もし、以下の譜例における

いちばん最後の小節に出てくる細かな32分音符を

付点2分音符や付点4分音符と同じ強さで弾いてしまったら

なんと非音楽的なことか。

 

ショパン「ノクターン(夜想曲)第8番 変ニ長調 作品27-2」

譜例(PD作品、Finaleで作成、2-9小節)

 

こういったようないくつかの理由があって

掲題の原則が成り立っています。

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)の魅力にとりつかれて、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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