例えば、ハノンで全調スケールを練習するとしましょう。
親指のくぐらせる位置など
ずっと同じ指遣いで進みますよね。
「実際の楽曲ではさまざまな運指のパターンが断片的に求められるし、
そのまま当てはめられないようなものをやる意味があるのだろうか」
などと思うことはありませんか。
昔、筆者はそう疑問に思っていました。
しかし、
ブラームスによるグリッサンドのエチュードを学んだときに
ハノンの練習のやる意味さえ感じることができました。
要するに、
そもそもこの種の練習曲は
特定の音型に完全対応するための準備練習というよりは、
あらゆる形でその音型の類似型が出てきたときの
対応策を増やしておくために
考える力をつけておくために
やる必要があるのです。
楽曲に完全フィットするようなエチュードをつくるくらいだったら
実際の楽曲で練習すればいいわけです。
いちばん基本的な指遣いによる全調スケールを経験しておけば、
それらの近しい亜種にも
ある程度対応できるようになる。
ブラームスのグリッサンドエチュードでも
「こんな形で、こんなスピードで、こんな運指でグリッサンドできますよ」
という例を提示しておいて
実際の楽曲で出てきたグリッサンドに対応するときの ”考える力” を
養わせています。
少なくとも、
エチュードの音型が
実際の楽曲にそのまま当てはめられないこと自体に
大した問題は含んでいないことを
理解してください。
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