音楽の学習を本格的に始める前のことですが、
当時習っていた先生から
以下のようなことを言われました。
イメージやら、断片的な言葉やら
何でも思いつくままに挙げるように言われたとき、
何ひとつ出てこなくて
とても恥ずかしい思いをしました。
それまでは、音を拾って聴こえてきたものを楽しんでいただけで
楽曲そのものについて深く考えたことはなかったんです。
もちろん、どんなにイメージなどが出てきても
それを表現するテクニックがなければ
音には反映されません。
しかし、
表現したい内容があってこそ
必要なテクニックがとりあえずは見えてくることからも、
言葉を積極的に活用していくのは
悪いことではないと言えるでしょう。
この点について
「ピアノ演奏おぼえがき」 著 : ハンス・カン 訳 : 城 房枝 / 音楽之友社
という書籍に
以下のような文章があります。
生徒に新しい概念、新しい可能性を現わす言葉をみつけさせる。
このような実験は、新しい、創造的なピアノ演奏を刺激するはずである。
たとえば、
輝くような
金属的な
満ち足りた
硬い
鐘の響きのような
クリスタルのような
ガラスのような
鈍い
ピッチカートふうの
刺すような
等々。
(抜粋終わり)
この文章を目にしたときに真っ先に思い出したのが、
美しいピアノ曲、
武満徹「雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に-」
の高音域部分に出てくる
「Celestially Light」という言葉による指示。
Celestially Light というのは
あえて日本語にするのであれば
「天上の光」
という意味でしょう。
こういった、
「書いてなくても成立はしてしまうけれども、書いてあることでグッと音楽の世界へ引き入れてくれる言葉」
に譜読みで敏感に反応しなければいけません。
これは作曲家自身が言葉を残した例ですが、
上記のように、
演奏者側も
独自の言葉でいいので
目の前の作品について何かしらの言葉を見つけてみましょう。
ムリヤリ見つけるというよりは、
適切な言葉があるのではないかと思って
ワクワクしながら譜読みをすることで
自然と発見するような感じが理想ですね。
◉ ピアノ演奏おぼえがき 著 : ハンス・カン 訳 : 城 房枝 / 音楽之友社
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