具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
シューベルト「楽興の時 第4番 D 780/4 Op.94-4」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
一見、練習曲風の分散和音による音型が続いていますが
その中に ”おいしいもの” が含まれています。
各小節の丸印をつけた音のこと。
分散和音の中でも
これらの音がメロディとして響く音であり
やや聴かせるようにすべきです。
ここでの見つけ方はシンプルで、
音程が動いている音を見つけるだけ。
例えば1小節目の場合、
1拍目と2拍目それぞれにある
「E Cis E」という3つの音は共通していますが、
各拍の最後の音だけが
「Gis A」と動いている。
このように、
音程が動かずに繰り返している音と
動いている音を
それぞれ見つけ出して
動いているほうを追ってみると
メロディになっていることが多くあります。
何もこの楽曲だけでのことではなく、
非常に多くの作品でこのような表現がとられています。
例えば、以下のような例。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第23番 熱情 ヘ短調 op.57 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、55小節目)
上段の丸印をつけた音に注目してください。
音程が動かずに繰り返される音以外に着目すると
それらがメロディになっていることがわかりますね。
下段の丸印をつけた音はバスです。
(再掲)
さらに注目すべきは、4小節目の四角で囲ったところ。
ここは、
練習曲風の分散和音の最中にフッと挟み込まれてくる
カンタービレなウタになっています。
順次進行中心の音づかいへ変わっているので
見分けはつきやすいはず。
それに、
口で歌ってみても
この箇所は表現的であることに気が付くでしょう。
たった4小節間のみを使って解説したわけですが、
◉ 順次進行中心に変わって出てくるカンタービレなウタ
これらのような ”おいしいもの” が含まれていることを
理解できたことと思います。
「パッセージの中から重要な音を見極める」
というのは、重要なテクニックのひとつ。
特に細かく動いているパッセージのときには
重要な音はどこにあるのかをよく考えながら
譜読みをしてみてください。
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