【ピアノ】作曲家がわざわざ書き分けた音価の違いを強く意識しよう

スポンサーリンク
「記譜法(ノーテーション)」
という部分に興味をもって学習するようにすると、
創作も演奏も
さらに楽しく取り組めるようになります。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

シューベルト「楽興の時 第3番 Op.94-3 ヘ短調」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、7-10小節)

星印で示したところのメロディを見てください。

8分音符ではなく

「16分音符+16分休符」となっていることに注目すべき。

 

作曲家がわざわざこのように書き分けるケースというのは、

以下のように何パターンか考えられます。

A. ノンレガートで弾く8分音符との音価の違いを明確に表現して欲しいとき
B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき
C. 他の声部の長さと切る位置を正確に合わせたいとき

 

楽曲やその場面によって

A〜Cが「単独で」あるいは「組み合わせて」意図されています。

上記譜例のところの場合は

まず、Cは確実ですね。

上段の下声部で付点8分音符が書かれており

「上声部のメロディも、この音と切るタイミングを正確に一致させたい」

という意図で

「16分音符+16分休符」で書かれているのでしょう。

 

(再掲)

では、残りのAとBに関してですが、

A. ノンレガートで弾く8分音符との長さの違いを明確に表現して欲しいとき

というのは、

意図されていると考えられるでしょう。

なぜかというと、

この楽曲では

◉ ノンレガートで弾く8分音符
◉ スタッカートが付いた8分音符
◉ 16分音符+16分休符

という似て非なる3種の表現が

わざわざ書き分けられているからです。

 

B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき

というのは、

上記譜例の部分に関しては当てはまらないでしょう。

Bの表現がとられていると考えることが可能な例は

同じ「楽興の時」の第1曲で用いられていますので

以下を参考にしてください。

 

シューベルト「楽興の時 第1番 Op.94-1 ハ長調」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、18-19小節)

この譜例における「16分音符+16分休符」のノーテーションは

上記A〜Cのうち、

A. ノンレガートで弾く8分音符との長さの違いを明確に表現して欲しいとき
B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき

このふたつに当てはまる例です。

 

作曲家による音価の書き分けを強く意識して、

記譜法のちょっとした部分が

結構、音楽へ影響していることに

興味をもつようにしましょう。

ノーテーションという部分に興味をもって学習するようにすると、

創作も演奏も

さらに楽しく取り組めるようになります。

 


 

Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV

X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano

YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg

 


 

無料トライアルで読み放題「Kindle Unlimited」

 

筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、

数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。

 

Kindle Unlimited 読み放題 無料トライアル

 

この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

タカノユウヤをフォローする
譜読み
スポンサーリンク
タカノユウヤをフォローする
大人のための独学用Webピアノ教室(ブログ版)

コメント

タイトルとURLをコピーしました