具体例を見てみましょう。
シューベルト「ピアノソナタ 第19番 ハ短調 D 958 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成)
2つある上のほうの譜例(180-183小節)における
カギカッコで示したところを見てください。
ここでは、
アルベルティ・バスの各中間にあたる部分に
和音がつけられています。
これがきっかけで
単音のところよりも少し音響が厚くなり
その小節に「ンタータータ」というリズムが出てきます。
極端に強調されるわけではないので
シンコペーションが隠されているくらいの
さりげない表現です。
しかし、
音源を聴いてみるとわかりますが
これだけの表現でも
シンコペーションを感じることができます。
1拍ぶんだけではシンコペーションになりえませんが
アルベルティ・バスの特徴として
パターン化されて連続されているからこそ
シンコペーションが表に出てくるわけですね。
(再掲)
続いて、
下のほうの譜例(21-24小節)を見てください。
こちらの譜例では
各拍頭に和音がついています。
このような音の選ばれ方だと
各拍頭のビートがやや強調される表現になる。
演奏上そう意識しなくても
書き方としてそうなっているわけです。
どちらの譜例も同じ楽曲中の内容ですので、
上の譜例におけるシンコペーションの例と
聴き比べてみてください。
こういった細かな部分も
譜読みで読み取れるようになると
楽曲の理解が深まるでしょう。
いつも書いていることですが、
こういった細かい学習の繰り返しで
新たな楽曲から素早く取れる情報も増えて
譜読みの力がさらに上がっていくのです。
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