(譜例)
一番左の譜例が、「原型」だとします。
よくある形ですね。
原型につけた丸印に注目してください。
アルベルティ・バス全般を
「音楽的に」かつ「技術的に安定して」演奏するためには、
「”バス+伴奏” のように多声的に考えること」
これが重要。
「深めに弾くべき音(バス)」と
「響きに隠してもいい音(伴奏)」
を見分けて演奏する。
楽譜は、
煩雑さを避けて
声部分けせずに書かれていることも多いのです。
丸印をつけた音をやや多めに出すイメージで。
曲が進むと少し音型が変わったりしますが、
基本的な考え方は同様です。
(再掲)
次に、具体的な練習方法をみていきましょう。
「練習パターン1」を見てください。
これらの音は
「音型における軸となる要所」
を抜き出したものです。
要所のみを安定して演奏できるようにする練習は、必ず徹底すべき。
このときに、
決して「裏拍の音(譜例ではE音)」が
バス音よりも大きくならないように注意しましょう。
参考までに「poco アクセント」を書き込んでみましたが、
このように、
「バス音の響きの中に他の音が入っていくイメージ」
をもって演奏します。
また、
それぞれの音がスタッカートになってしまわないように。
(再掲)
「練習パターン2」を見てください。
原型とやや形は異なりますが、
「バス以外の音を反復する練習」
となっています。
このようにしてテクニックを取り出してみると、
次のことがわかってきます。
「アルベルティ・バスには”トリルのテクニック”が含まれる」
ということ。
基盤となっているテクニックがわかったら
必要に応じて
ハノンのトリルを抜粋して補足練習するのもいいでしょう。
ここで、全体的な練習のポイント。
まずは、
「指を上げすぎないこと」
これが重要。
いちいち指を高く上げてしまうと
テンポを上げようとしたときにうまく上がらないばかりか
デコボコしてしまい音色もそろわないために
練習の行き詰まりがきてしまいます。
さらに、
「手の甲を動かしすぎないこと」
これもポイントです。
「手の甲の上にものを乗せておいても落ちないくらいの状態」
で打鍵していくと
バタバタせずにテクニックが安定します。
「一本の細い柱で手の中心を支えている感覚」
といってもいいでしょう。
実際に、左手の力を抜いて、その中心を右手の人差し指で支えてみましょう。
アルベルティ・バスによっては
やや「わずかな肘の回転」を取り入れて効果的に演奏できる内容もありますが、
それはワンステップ上のテクニックとなります。
まずは、本記事の基礎を身に付けましょう。
ここまでを踏まえれば基礎はOKです。
「1拍ずつ速く弾く練習(短く区切って弾く練習)」
も取り入れながら仕上げていきましょう。
今回は
「左手に出てくるアルベルティ・バス」
について解説しましたが、
似たような音型が「右手」に出てくることもあるでしょう。
その際も基本的な考え方は応用できます。
ある特定の練習方法を試しても、
一発で魔法をかけられたようには弾けるようにならないのが
ピアノ練習の宿命です。
一方、本記事でご紹介した内容を踏まえながら
コツコツと練習していくと
少しづつでも確実に演奏が安定してくるはずです。
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