具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、7-10小節)
星印で示したところのメロディを見てください。
8分音符ではなく
「16分音符+16分休符」となっていることに注目すべき。
作曲家がわざわざこのように書き分けるケースというのは、
以下のように何パターンか考えられます。
B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき
C. 他の声部の長さと切る位置を正確に合わせたいとき
楽曲やその場面によって
A〜Cが「単独で」あるいは「組み合わせて」意図されています。
上記譜例のところの場合は
まず、Cは確実ですね。
上段の下声部で付点8分音符が書かれており
「上声部のメロディも、この音と切るタイミングを正確に一致させたい」
という意図で
「16分音符+16分休符」で書かれているのでしょう。
(再掲)
では、残りのAとBに関してですが、
A. ノンレガートで弾く8分音符との長さの違いを明確に表現して欲しいとき
というのは、
意図されていると考えられるでしょう。
なぜかというと、
この楽曲では
◉ スタッカートが付いた8分音符
◉ 16分音符+16分休符
という似て非なる3種の表現が
わざわざ書き分けられているからです。
B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき
というのは、
上記譜例の部分に関しては当てはまらないでしょう。
Bの表現がとられていると考えることが可能な例は
同じ「楽興の時」の第1曲で用いられていますので
以下を参考にしてください。
シューベルト「楽興の時 第1番 Op.94-1 ハ長調」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、18-19小節)
この譜例における「16分音符+16分休符」のノーテーションは
上記A〜Cのうち、
B. 視覚的に「分断される」という印象をハッキリと示したいとき
このふたつに当てはまる例です。
作曲家による音価の書き分けを強く意識して、
記譜法のちょっとした部分が
結構、音楽へ影響していることに
興味をもつようにしましょう。
ノーテーションという部分に興味をもって学習するようにすると、
創作も演奏も
さらに楽しく取り組めるようになります。
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