これまでにも記事を出してきたように、
初見演奏でつまづく可能性の減らし方は
いくつかあります。
それに関して
今回追加で解説するのは
「ゆっくり、かつ、真っ黒な楽譜で、拍をとれるようにしておく」
というもの。
「ゆっくりなテンポの作品」や
「ゆっくりなテンポに変わる部分がある作品」だと
真っ黒な楽譜ってよく目にしますよね。
具体例を挙げます。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 第2楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、58-59小節のピアノパートのみ)
Largoです。
テンポがゆっくりだからこそ、
たくさんの音が入る。
その結果、真っ黒になる部分も出てくる。
こういった細かな音価がたくさん使われる場面だと
瞬時に拍の区切りを読み取れない方も多いようです。
◉ 1拍多かったり足りなかったりしても気付かずに次の小節へ行ってしまう
などといったように。
このように
比較的つまづきやすいポイントが
あらかじめ分かっているわけですから、
数多くの例をあたって
拍を正しく勘定するトレーニングを積んでおけばいいのです。
「ゆっくり、かつ、真っ黒な楽譜」
に慣れておきさえすれば、
いざというときに汗かいたりしなくなります。
そういったトレーニングをするときは
必ずしもピアノ曲を使わなくてもOK。
例えば、
以下のようなヴァイオリン曲も
「拍の勘定」という観点からすれば
ピアノにおける初見演奏にとっても
良い教材となるでしょう。
J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 ト短調 BWV 1001 より Adagio」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、3-4小節)
大譜表を読む初見練習にはなりませんが、
初見練習にはさまざまなアプローチがあってもいいのです。
ここからは余談。
かつて筆者自身が
学生オーケストラへ入っていたときに
気付いたことがあります。
ゆっくり、かつ、真っ黒な楽譜で誤読する学習者は
あらゆる楽器の中でも
ピアノをやっている方に多いことが分かりました。
どうしてなのかについてですが、
おそらく
「ピアノ奏者は、伴奏の刻みに拍の読み取りを任せがちだから」
これが理由なのでしょう。
ゆっくり、かつ、真っ黒でメロディが書かれていても
伴奏が8分音符などでコンスタントに刻んでいたりすると
そのリズムを参考に真っ黒なほうも読めてしまう。
だからこそ、
最初に掲げた譜例のように
伴奏パートが少しご無沙汰になるところへ入ると
とたんにそれ以外のリズムが読めなくなってしまう。
これに対して、
単旋律で演奏するのが主である楽器奏者の場合、
譜読みをするときには
原則、それ以外の音の助けを借りずに読まないといけないので、
拍を整理しながら正しいリズムで勘定していく訓練が
常にいきわたっています。
それに加え、
普段から管弦楽や吹奏楽をはじめとした団体で
合奏の機会を積んでいる場合が多いので、
「正しく数える」ということに関して
より訓練されているわけです。
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