「聴衆は視覚的にも演奏を聴く」
これは、まぎれもない事実。
視覚的に注意が必要な例を
いくつか挙げておきます。
subitoでダイナミクスを上げる直前でその気配を出してしまって、効果が台無しに
「これからきますよ〜、いきますよ〜」
みたいな雰囲気を
身体の動作や表情で表に出してしまうと
聴衆はそれに勘付いてしまい、
せっかくの急激なダイナミクス変化が台無しになってしまいます。
これは、その楽曲を聴衆が知っているかどうかは
関係ありません。
音楽の内容を
視覚的に前もって説明してしまわないように
気をつけましょう。
フェルマータで全声部伸ばしているときに、次の用意でガサっと動いてしまい、緊張感が台無しに
これもあるあるですね。
全声部伸ばしているときって、
ダンパーペダルで響きを残しておけば
次の部分の準備へと移ることができます。
しかし、
その動きがガサついていたり
楽曲の雰囲気に合っていないと
動きを見た聴衆から緊張感を奪ってしまいます。
ずっと静止しておいて直前にスルリと移動するか、
前もって移動するとしても
雰囲気を壊さないようにそっと移動するなりして
緊張感の持続を心がけましょう。
「テュルク クラヴィーア教本」 著 : ダニエル・G・テュルク 訳 : 東川 清一 / 春秋社
という書籍の中で
テュルクは以下のように解説しています。
いかに美しいパッセージでも、
奏者の素振によって
「これから難所と取り組むが、うまく弾けないかもしれない」
と私たちが気づいてしまうとすれば、
それよりいくらかを劣るパッセージでも、
それがもし落ち着いて容易そうに弾かれるなら、
奏者に共感しながら聴いている聴衆を喜ばせることになるだろう。
(抜粋終わり)
視覚的なことが原因で不要な損をしないように
動作や表情のひとつから気を付けて
本番へ臨んでみましょう。
◉ テュルク クラヴィーア教本 著 : ダニエル・G・テュルク 訳 : 東川 清一 / 春秋社
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