スタッカートが連続する場合、
テンポが速くなるにつれて
ダイナミクスが大きくなる傾向にあります。
やってみると気がつくはずですが、
レガートのパッセージをかなり高速のテンポで
かつ、pp のダイナミクスで弾こうしても
それほど難しいことではありません。
しかし、それらをスタッカートの連続で弾こうとすると
ダイナミクスをおさえているのが
想像以上に困難です。
スタッカートの場合でも
単音を pp で発音するのは訳ないはず。
一方、それが連続すると
いきなり静かに弾くためのハードルが上がります。
スタッカートをするときにどういった動作が必要なのかを考えれば
これはある意味仕方ありません。
問題なのは、ダイナミクスが大きくなっているのに気が付きにくいこと。
「速いテンポでのスタッカートの連続では、ダイナミクスに注意」
これを頭の片隅へ置いておくことで
自分のできる範囲でのコントロールはできるでしょう。
初級~上級まで幅広い段階の学習者にとって必要な注意点。
極端な例を挙げておきます。
たくさんの実例はありますが、
例えば、
シューマン「交響的練習曲 Op.13」の
「Etude IX , Presto possibile」は、
Presto possibile(できる限り速く)のテンポで
ひたすら和音のスタッカートが続くので
非常に難しいものとなっています。
弾いていて、この変奏が近づいてくると
ほんとうにドキドキするんですよ。
レガートのパッセージをかなり高速のテンポで
かつ、pp のダイナミクスで弾こうしても
それほど難しいことではないと書きましたが、
この実例こそ、いくらでもありますね。
ちなみに、この種の中でも難しい楽曲はあります。
サルヴァトーレ・シャリーノなどの作曲家は
「レガートでひたすら動き回っていて、ひたすら静か」
という表現を数多くの作品で試みており、
かなりのテクニックが要求されるピアノ曲を発表しています。
PD作品になっていないので譜例は掲載できませんが、
「Etude de concert(1976)」
などを聴いてみるといいでしょう。
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