演奏の感覚にも影響しますので、
本番であらゆるピアノを触る可能性があるという意味でも
本記事の内容を理解しておきましょう。
■グランドとアップライトで、ソフトペダルの構造は異なる
♬ グランドピアノのソフトペダル
グランドピアノの場合は、
ソフトペダル(シフトペダル)を踏むことで
鍵盤がやや横ずれを起こします。
右に移動しますが、中には左に移動する機種もあります。
(名称の「シフト」とは、この移動のこと。)
横ずれすることで、
高音域など
ひとつの鍵盤に対して3本の弦が張ってある音域の場合は、
2本の弦のみが打たれることになり、
打たれなかったもう1本の弦も共鳴することで
結果、音量と音色が変わるのです。
2本の弦が張ってある音域の場合は
1本の弦のみが打たれることになります。
ちなみに、
歴史的には原則、すべて2本弦の時代がありました。
つまり、手動で鍵盤を移動させる
当時のシフトレバーを使うことは
「1本の弦のみを打つこと」
を意味しました。
それが理由で、
ペダルができてからの時代も
ソフトペダルを使用することを
「una corda(= one string 一本の弦)」
と呼んだという説があります。
今では、
3本中2本の弦を打つ場合も含めて
una cordaという言葉が使われることも多くなりました。
さて、
低音など
ひとつの鍵盤に対して1本の弦のみが張ってある音域では
どのようにしてソフトペダルが働いているのでしょうか。
通常の状態では
ハンマーの決まった位置でヒットしていたものが、
ソフトペダルの使用により
横ずれを起こすことで
「ハンマーの外側に近い柔らかい部分」
で打たれることになります。
それにより、
ソフトペダルの効果がでるというわけです。
♬ アップライトピアノの場合
アップライトピアノの場合は
ソフトペダルの構造はまったく異なり、
グランドのときのような横ずれは起きません。
つまり、
「打たれる弦の本数」や「ハンマーの当たる位置」などで
効果を出しているわけではないのです。
ではどうやっているのでしょうか。
ソフトペダルを踏むことで
すべてのハンマーが弦に近づく構造となっています。
「弦が動くのではなく、ハンマーが弦へ近づく」
ということに注意してください。
その結果、
同じ強さで打鍵しても音の勢いが弱められます。
思い出してください。
鐘をゴーンと打つ場合でも
少し離れた距離から打ったほうが
きちんと響くような打撃を与えることができますよね。
グランドかアップライトかによって
ソフトペダルの構造が違うということは、
出てくるサウンドにも差がありますし
まったく同じ感覚で演奏することはできないということです。
それぞれの特徴を理解しておき、
どんなピアノで演奏することになっても
感覚の違いに慌てることのないようにしましょう。
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