【ピアノ】弱音の表現幅の広げ方

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本記事では、
ドビュッシーがよく用いる強弱指示を例に
「弱音の表現幅の出し方」について解説しています。

 

以前に、

più、meno、pocoがついた強弱記号の強さ関係

という記事を書きました。

この記事の中で取り上げた表を再掲しますので

確認してください。

さて、

これを踏まえたうえで今回の話題に移ります。

 

ドビュッシーなどの作曲家は

このように4種のダイナミクスを併置することで

デクレッシェンド、

それも「徐々に小さく」ではなく

「段階的なデクレッシェンド」

の様子を楽譜に書き残しています。

ピアノ曲をはじめ、何作品もの中で見られます。

 

こういった書き方は

特に近現代になってから多く見られるようになったため

それ以前の時代には比較的珍しいものでした。

それだけ作曲家の要求も細かくなっているということです。

しかし、

ですら既に静かな世界であるのに

più pp まで4段階ものダイナミクスを

どうやって表現すればいいのでしょうか。

 

ポイントは大きく3つです。

① 途中からソフトペダルを用いる
② 打鍵速度と打鍵角度をコントロールする
の部分は、自分が思っている よりもやや太めの音を出しておく

 

① 途中からソフトペダルを用いる

 

これは言うまでもありませんよね。

ソフトペダルは「弱音ペダル」などと言われることもありますが、

音量をおさえるだけでなく

音色を曇らせることもできます。

したがって、pp または più pp から使用し始めるのがいいでしょう。

 

② 打鍵速度と打鍵角度をコントロールする

 

ざっくりとではありますが

次のようなことが言えます。

◉ 指を立てて打鍵速度を速めに弾くと、明るい音が出る
◉ 指を寝せ気味にして打鍵速度をゆっくりめに弾くと、曇りがかった音が出る

 

したがって、

これを4段階の中で使い分けることで弱音の幅が出ます。

重要なのは、

「指を立てて打鍵速度を速めに弾いても、ある程度の弱音であれば出せる」

ということを知っておくこと。

そしてそれを練習して身につけることです。

più pp へ向かうにしたがって

段々と指を寝せ気味にして

打鍵速度をゆっくりめに弾くようにするといいでしょう。

 

③ p の部分は、自分が思っている p よりもやや太めの音を出しておく

 

これは見落とされがちですが、

とても大きなキーポイントとなります。

 

p の部分は自分が思っている p よりもやや太めの音を出しておくことで

「小さくなりすぎないこと」が大切です。

「それでは、mp と一緒じゃないか」

という声が聞こえてきましたが、

一緒ではないのです。

聴衆は音楽を「相対的」に聴きます。

したがって、

その直前のダイナミクスとの兼ね合いさえ許せば

やや太めの音で弾いた p であっても

mp ではなく p に聴かせられるのです。

 


 

紹介した①〜③を併用するのがベスト。

それだけで、

なんとなく演奏する場合と比べたら

弱音の表現幅がグンと広がるはずです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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