【ピアノ】執拗な繰り返しでは、その意図を考える

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「執拗な繰り返し」をはじめ
特徴的な書法の意図を考えると、
演奏解釈の参考になることがあります。

 

具体例を見てみましょう。

楽曲が変わっても考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第8番 K.310 第3楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、199-204小節)

 

カギマークで示した4小節間は

まったく同じ内容を執拗に繰り返します。

しかも、不安定な和声かつ、f で演奏されるので

一種の「サイレン(警報音)」のようなイメージさえ感じますね。

 

執拗な繰り返しが出てきたら、その意味を考えるようにしましょう。

ここでは明らかに

◉ あおってせきたてる
◉ 緊張感を途切れさせない

これらのような意味というか意図が

込められているように感じます。

 

こういったことを踏まえると

p へ入る前に rit. をしないほうがいいだろうと

考えを立てることができます。

ノンストップで一気に

カギマークの最後の音まで弾き切ってしまう。

そして、subito p でガラリと空気を変える。

 

p へ入るところで

両手ともに大きな跳躍があるので

どうしてもその前で保険をかけて

テンポをゆるめてしまいがち。

もしわずかな時間をとるのであれば

f  のところをインテンポで弾き切ってしまい、p へ入るところで少しだけ。

 

この楽曲の演奏解説をしたいわけではなく、

執拗な繰り返しをはじめ

特徴的な書法の意図を考えると

このように演奏解釈の参考になる可能性があるということを

言いたいわけです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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