ピアノ曲において
5の指で弾く音というのは、
右手の場合は「その場での最高音」
左手の場合は「その場での最低音」
になることがほとんどで、
輪郭をとっている大事な音。
しかし、
演奏を聴いていると
これらの音を良く聴けていないのではないかと思うことが
ひんぱんにあります。
例えば、以下の譜例を見てください。
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第9番 BWV 854 ホ長調 より プレリュード」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
右手のケースを見ていきましょう。
1小節目から早速、5の指を使いますね。
5の指で弾く音は浮いてしまいがちですが、
「触って、終わり」ではなく
きちんと5の指が鍵盤に乗っかっていることが重要。
そうすることでカンタービレに歌うことができますので。
このように単音で弾くときはもちろんですが、
和音で弾くカタマリの中に
5の指で弾く音が含まれている場合も
その音を良く聴く必要があります。
シューマン「パピヨン 第1番 Op.2 ニ長調」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、第1番の頭)
譜例のような
オクターヴユニゾンでメロディを弾く場合、
親指で弾く音に対して
どれくらいのバランスで5の指(ときには4の指)の音を響かせるのかによって
和音全体の印象がずいぶん変わります。
ざっくり言うと、
上のラインのほうが強いと明るい印象になりますし、
響きを重視したいのであれば
下のラインのほうを骨太で演奏するといいでしょう。
それに、このようにオクターヴが連続していくときには
5の指の音をよく聴いていないと
上下ラインの横つながりのバランスを
維持することができません。
あるところでは下のほうが強くて
あるところでは上のほうが強くて…では困ります。
もう一例見てみましょう。
ドビュッシー「サラバンド(ピアノのために 第2曲)」
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、曲頭)
このような
中に和声音も含まれる和音では
5の指(ときには4の指)の音を聴いていないと
メロディが埋もれる結果になりますし、
和音全体の響きをコントロールすることもできません。
右手のケースを例に大づかみに見てきましたが、
その他あらゆる表現において
「5の指の音をきちんと聴く」
というのは重要になってきますので、
日頃の練習の中で気を配ってみてください。
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