「伏線」というのは
「その後に起こることを予めほのめかしておく手法」
のことであり、
表現手段として作曲家がよく使うものです。
「予め見せておく」ので
「予見」などという言い方をすることも。
とうぜん、やってもやらなくても成立はするのですが
その独自の効果を狙って使われます。
この表現を知ったからといって
すぐに演奏が良くなるわけではありません。
しかし、楽曲理解を深める意味でも
見つけられるようにしておくべき。
具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
ショパン「ノクターン第13番 op.48-1」
譜例(PD作品、Finaleで作成、37-39小節)
39小節目では
いきなりオクターブによる
どこか不吉なサウンドが挟みこまれてきて
すぐに何事もなかったかのように
元の音楽へ戻って落ち着きます。
この作品をはじめて聴いた聴衆は
「えっ、何?」
などと、一瞬ハッとさせられることでしょう。
これが、この作品における伏線です。
41小節目以降、
オクターブによるこのようなサウンドが楽曲を取り巻くので
その要素の一部を伏線として
前もって挟みこんでいるわけです。
「何の脈絡があるのだろう」
と思うようなものが挟みこまれてきて、
もう少し聴き進めると
それが有機的に楽曲を構成している素材だったと理解できる。
さまざまな楽曲を見ていると、
ここまで大げさな伏線ではなくても
もっと控えめなそれも出てくることに気がつくはず。
いずれにしても、
突発的に起きたように感じる要素が出てきたときには
それが同楽曲中に現れる他の何かと関連していないかを
疑ってみましょう。
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